心理療法・カウンセリング psychotherapy

医師の診察の話し合いでは、症状や治療環境など患者さんを包括的に理解し、薬物治療など『脳』『身体』にアプローチする内容が重視されます。一方、心理カウンセリング・心理療法では『こころ』と『行動』に直接働きかけ、日常生活における活動の変化を目指します。

〈こんな方に…〉

  • うつ病、自律神経失調症、不安障害、パニック障害、強迫性障害、発達障害・ADHD(子供から大人まで)
  • 気分が乗らない、体の不調や痛みが続く、不安を抱え込みやすい、人間関係がうまくいかない、仕事のトラブルが多い、など。

当院では、以下の治療が行えます。

認知行動療法

物ごとの捉え方(認知)や行動が、気分や体調に影響を及ぼすという理論に基づく治療です。

認知の選択肢を増やし、行動していくことで、自分で気分や体調をコントロールできることを目指していきます。認知再構成法、セルフモニタリング、アサーション、問題解決法などのテクニックを用います。

例えば、認知再構成法では役に立たない物ごとの捉え方(認知)の癖に気づき、より適した考え方ができるよう、カラム表を用いたりします。セルフモニタリングでは1日の活動内容を記録しそれを1カ月続けることで、自分の活動の傾向を正確に知ることができます。

まずは病院にて患者さんのお話を伺いながら日常生活の中で起きている問題に対して一緒に目標を決めます。その後、自宅で患者さんに課題を行っていただき、認知的・行動的スキルのトレーニングをすすめていきます。

うつ病、パニック障害、社会不安障害、強迫性障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療にも効果があると科学的に証明されています。

また認知行動療法を応用すると、マインドフルネス認知療法と同様に健康な人でも不安やストレスの軽減、睡眠の質の向上に生かすことができます。

ただしこの技法は、重度の知的障害等の方には実施することが困難であり、家庭での課題をこなすのに患者さんの努力と協力が必要になります。

メリット

副作用がない。子供から大人まで可能。
薬物治療の効果がない方・疾患改善後の再発予防に効果的。内服薬の減量・中止も可能。

デメリット

効果発現に時間がかかる。保険外診療のため自費になる。
メニューにより自宅でのトレーニングなどの患者さん自身の努力が必要です。
(急性期の症状の重い方には行えないことがあります。)

マインドフルネス認知療法

マインドフルネスとは、「今この現実に、リアルタイムかつ客観的に気づいていること。もしくはあるがままの現実をあるがままに感じること」(藤井英雄著、『マインドフルネスの教科書』より)を指します。

抽象的な説明なので、具体例を示してみましょう。
例えば、呼吸のマインドフルネスを記載します。
背筋を伸ばし椅子に座り、目を閉じて自分の呼吸のみに意識を向けます。鼻から息を吸うと肺が膨らみ、ゆっくり鼻から息を吐くとともに肺が縮む。その肺の動きだけに感覚を集中し、今呼吸をしている自分をありのままに意識を向けます。
行っている最中に、必ず他の事に意識が向きかけると思います。例えば「今日上司に叱られたけど、明日会うのが嫌だな」「お腹が空いたな」「頭がかゆいな」といった思考が頭に浮かぶかもしれません。
マインドフルネスでは、そういった思考が浮かぶことを否定するのではなく、そのように浮かんできた気持ちを「不安」「空腹」「痒み」などのように単語として頭に置き、それを受け流しながら、再び現在の状況である呼吸に意識を向ける。そういった作業の繰り返しが大切です。

上記のようなマインドフルネスを様々な形で応用しトレーニングを続けることで、自身の不安や葛藤、コンプレックスなどを客観的にみる力が身につき、抑うつや不安、依存症の軽減、慢性疼痛の緩和等が得られるというデータがあります。

マインドフルネスは日常生活の中で、歯みがき中や駅までの歩行などささいな場面で取り入れることができます。そして、繰り返し日頃から行うことで、不安やストレスの軽減、集中力の向上などに役立てることが可能です。
アメリカではGoogle社やYahoo社など複数の優良企業で研修に組み込まれており、日本でも資生堂がすでに取り入れています。マインドフルネスは、健康な人の海馬(脳の記憶を司る部分)を大きくするというデータもあります。

スポーツ選手では、男子テニス世界ランキング1位のジョコビッチ選手、往年のNBAの大スターであるマイケル・ジョーダン選手などが、メンタルトレーニングとしてマインドフルネスを取り入れていたことは有名です。

児童にもマインドフルネスは実施可能であり、ニューヨークの約8000校の公立学校においてマインドフルネスプログラムが行われています。健康な子やADHDで不注意症状を呈する子の集中力改善にも、成果を上げはじめています。

ACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)

臨床行動分析といわれる行動分析学に基づいた心理療法で、通称はアクトです。前述のマインドフルネスや認知行動療法の技法も部分的に用いており、第3世代の認知行動療法とも呼ばれています。

人間は言葉を用いて過去のことを思い出したり、未来のことを予想することができますが、過剰に考え込んでしまい、それがストレスや不安となりメンタルに不調をきたすことがあります。

例えば、
まだやってもいないのに前回失敗したときのことを考えてなかなか行動に移せないというがありませんか?
これは未来の失敗について、言葉を用いて想像してしまうが故に生じる不安が原因です。

ACTでは言葉のもつ力について知ってもらい、言葉とうまく付き合っていくことを目指します。頭の中だけで理解するのではなく、メタファー(たとえ話)やエクササイズを用いることで、体験的、直感的に理解することを重要視します。
そして不安や落ち込み、悩み等から目を背けず、それらの気持ちをありのままに認めた上で、自分にとって本当に価値のある方向に向かって、前向きに行動をしていくことを目指します。

比較的新しい心理療法ですが、うつ病、不安障害だけでなく慢性疼痛などで効果が認められてきております。

マインドフルネス同様に健康な人も ACTを学んだり、企業の研修等に広く利用されることも期待されています。

心理カウンセリング

心理士が患者さんの悩みや抱えていらっしゃる思いをしっかりと受け止め、現在の症状や状況についてどうすれば良いか理解を深めていきます。

アサーショントレーニング

「アサーション」とは、アメリカで生まれた考えで、「自分も相手も大切にする自己表現」に基づいたコミュニケーションの考え方やその方法です。

自己表現には3つのパターンがあると考えます。

  • 攻撃的自己表現:自分は大切するけれど、相手は大切にしない
  • 非主張的自己表現:相手は大切にするけれど、自分は大切にしない
  • アサーティブな自己表現:自分も相手も大切にする

トレーニングとして、まず今自分がどのパターンを使っているかを自覚することが大事です。アサーティブであろうと行動に移すことは難しいですが、一緒に練習することでアサーティブな対応が習得されます。
(※参考図書:マンガでやさしくわかるアサーション 平木典子)

アンガーマネジメント

「怒り」とは人間の基本的な感情の一つで、不当な扱いを受けたと感じることで攻撃的な行動へ繋がっていくと考えられ、自分自身を守るための主張の一つとも言えます。

怒りだけでなく、「不安」や「悲しみ」などネガティブな感情に基づいて起こる問題を具体的にあげて、一緒に対処していけるようにします。

精神分析的心理療法

フロイトが始めた精神分析を基にしています。

カウンセラーが付き添いながら、患者さん自身が自分と向き合いそれを言葉に表すことを進めていきます。過去のトラウマや原因となる出来事などを掘り下げます。

プレイセラピー

主に子どもに対して、おもちゃを使い遊ぶことを通して行う心理療法です。

低年齢であるほど言葉を使い状況を説明したり、自分の気持ちを表現することが難しいため遊びを用います。遊びの中に気持ちが表れるという考えに基づいています。

ペアレントトレーニング

患者である児童ではなく、保護者が子供との関わり方や、子育てのヒントを学ぶプログラムです。
例えば、子供がいけないことをした際の注意の仕方、自己肯定感を高めるほめ方など、日常生活における親の対応を具体的に学びます。