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SSRIと神経伝達物質について② セロトニン

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

前回のブログ『SSRIと神経伝達物質について①』の続きになります↓

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/525/

 

 

 

◎SSRIを第一選択薬につかう疾患について関連する神経伝達物質を挙げました。

 

 

うつ病       セロトニン系+ノルアドレナリン系+ドーパミン系 (+GABA系)

全般性不安障害   セロトニン系、GABA系

パニック障害    セロトニン系、ノルアドレナリン系、GABA系

強迫性障害     セロトニン系

           

  (Crash Course 速習 精神医学 金芳堂)

 

 

 

 脳内の神経伝達物質としてセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンが中心的な役割を果たしますが、

 このようにみてもわかる通り、セロトニンに対するアプローチは精神科疾患の薬物療法において特に大事な役割となります。

 

 セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンについて簡単な説明をしていこうと思います。

 

 

 

『セロトニンについて』

 

 

 脳内の神経伝達物質のひとつで、ドパミン・ノルアドレナリンを制御し精神を安定させる働きをします。

 必須アミノ酸トリプトファンから生合成される脳内の神経伝達物質のひとつです。

 視床下部や大脳基底核・延髄の縫線核などに高濃度に分布しています。

 

 他の神経伝達物質であるドパミン(喜び、快楽など)やノルアドレナリン(恐怖、驚きなど)などの情報をコントロールし、精神を安定させる働きがあります。

 

 セロトニンが低下すると、これら2つのコントロールが不安定になりバランスを崩すことで、攻撃性が高まったり、不安やうつ・パニックなどの精神症状を引き起こすといわれています。

 

 また、交感神経と副交感神経のバランスを整える作用があるため、セロトニン不足でいわゆる「自立神経失調症」の症状が出ます。

 

 他には、セロトニン低下でメラトニンの分泌が減り睡眠の質が低下します。

 

 また、腸に存在するセロトニンの影響もあります(脳腸相関についてhttps://meiekisakomentalclinic.com/blog/104/

 

 

 

 ・トリプトファンは肉・納豆・乳製品などたんぱく質(必須アミノ酸)から生成されます。

 エビデンスがあるわけではないですが、やはり食事と精神的な安定との関連は否定できないと感じています。

 うつ症状、不安が強く食事量の低下を来している患者さんが、栄養不足に伴う二次的な症状を引き起こしているのではないか、と考察するケースは多々あります。

 

 規則正しい生活(食事、睡眠、日光を浴びる)を送ることでセロトニンの分泌される量は増えます。

 簡単に『規則正しい生活』と言っても患者さんそれぞれの症状や環境があるので、実際に生活をガラっと変えることは難しいと思います。

 しかし、生活習慣の何かひとつを変化させることで、精神症状の改善へむかう好循環のきっかけになる可能性があります。

 

 ぜひできるところから日常生活の見直しをお勧めします。

 

引用(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html

 

 

  

 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平