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ストレスへの反応② PTSDの診断など

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

前回のブログの続きです。

前回のブログ

 

ストレスに対する反応の程度、性質

 

 ストレスに対する反応は、人それぞれの素質や状況により変わります。

 

 普段なら乗り越えられるストレスが、他のストレスが複数重なることで対応困難になることがあります。 

 

 ストレス後の反応として、以下の可能性などを考えて治療につなげていきます。

 

 

適応反応

 

急性ストレス性反応 or  外傷性ストレス障害(PTSD)

 

解離性障害

 

他の精神疾患の悪化・進行 (うつ病、双極性障害、不安障害、など)

 

適応障害 

 

 

 

 

適応反応

 

 心理社会的ストレス因子に反応して生じるものであり、さまざまな感情的・行動的な症状があります。

 病的な反応ではなく、また、一過性のものと判断されます。

 

 

例えば:軽い抑うつ症状、不安、無力感など。

 他に、攻撃的な言動、子供に起こりうる赤ちゃん返りも該当するかと思います。

 

 

急性ストレス性反応 or  外傷性ストレス障害(PTSD)

 

 この診断にはストレス因子が外傷性ストレスであることが必要です。

(外傷性ストレスの説明:  https://meiekisakomentalclinic.com/blog/368/

     

 

 急性ストレス性反応は、ストレスへの曝露の最中、または直後の数分以内に出現します。一般的に数時間で消失します。

 症状は、「呆然とした状況」、焦り・ソワソワ落ち着きがない、不注意などです。

 

 

 

 外傷性ストレス障害(PTSD)は​​​​​​​、通常ストレスへの曝露後6ヶ月以内に症状が発生します。

 

『症状』

 

 ①外傷性の出来事を以下に示す形でくり返し再体験します。

 

   ・フラッシュバック(原体験の侵入的回想、精神的イメージ、夢など)

 

   ・幻覚、錯覚

 

   ・ストレス因子に似た内的・外的刺激により苦悩が引き起こされる

 

 ②ストレス因子に関連する刺激の回避。感覚まひ、引きこもり、健忘

 

 ③覚醒の亢進(不眠、怒り、過度の警戒、集中力の低下 など)

  

 ※これらの症状は頭部外傷、てんかん、アルコール・精神作用物質の中毒や離脱、などの他疾患の可能性も考慮して診断します。

 

 

 

・適応障害はうつ病などの気分障害、不安障害などの特異的な精神疾患の診断基準が該当しない時のみ、除外診断として診断されます。

 

 

・解離性障害についてはまた今度くわしく説明できたら、と思います。

 

 

PTSDの治療について↓

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/385/

 

 

参照:金芳堂『Crash Course 速習 精神医学』斉尾武郎

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 院長 丹羽亮平