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甲状腺機能亢進と双極性感情障害  広末涼子さんの発表をうけて

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 先日、女優・広末涼子さんが「双極性感情障害」と「甲状腺機能亢進症」の両方を抱えていたことを公表されました。このニュースを聞いて、率直に驚くとともに、ご本人にとっては非常に辛い状況が長年あったのではないかと推察いたします。

 

 芸能界という特殊な世界は、非常に刺激の強い環境であり、一般的な職場と比較してもストレスや重圧のかかりやすい場面が多いと考えられます。

 そのような中で、心身のバランスを保つことは難しく、症状の波が悪化しやすい環境であったことも想像できます。

 もしかすると、本人はもっと早くに公表にしたかったのではないかとも思いました。

 

 これまでも診察室で患者さんから「広末さんはどんなご病気だと思いますか?」と尋ねられることはありましたが、あくまで推測の域を出ないためお答えしておりませんでした。

 今回ご本人からの公表があったので、あらためてこの二つの病気の関係性について簡単に記載します。

 

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 双極性障害は、気分の波が大きく、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。

 うつ期はいわゆるうつ病と同様に気分の落ち込みや不安、無気力が出現します。

 一方、躁状態では過活動や多弁、反社会な言動であったり突発的な行動が問題となることがあります。

(例えば、次のような患者さんがいました↓

急に思いついて、家族にも言わず東京で行われるライブイベントに仕事を休んでいった。など)

 

 

 ちなみに、治療にはいくつかの薬物療法がありますが、中でも「炭酸リチウム」は長年にわたって、躁状態や気分の不安定さを抑える標準的な治療薬として知られています。

 

 一方で、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで動悸や手の震え、不眠、焦燥感など、身体的にも精神的にも症状が現れやすい病気です。

 実際のところ、甲状腺ホルモンの過剰は、躁状態に似た精神症状を引き起こすこともあるため、双極性障害との見極めが非常に重要になります。

 

次に続きます。

双極性障害と甲状腺機能亢進症、リチウム治療について

 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平


・子どものこころ専門医
・日本児童青年精神医学会 認定医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
・精神保健指定医

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