起立性低血圧を詳しく説明!
前回ブログの続きです。↓
自律神経失調症は脳内の自律神経中枢が適切に機能せず、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて様々な症状が出るものですが、
その中で、起立性調節障害は心臓・血管系の自律神経調整(圧受容器反射など)の何らかの障害にて起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。
起立性調節障害の主なものは以下があります。
・起立性低血圧(OH)
・体位性頻脈症候群 (PoTS)
・神経調節性失神 (NMS)
自律神経は、交感神経(やる気の出る時に上がる)と副交感神経(リラックスする時に上がる)のバランスで調整されます。
上記の病態を交感神経の働きで説明すると、
起立性低血圧:交感神経の活動低下
体位性頻脈症候群:交感神経の活動亢進
神経調節性失神:交感神経の不適切な活動亢進と活動低下
と説明できる近い病態の疾患群です。
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起立性低血圧は、起立時に起きる極端な血圧低下です。
起立時に、20mmHgを上回る収縮期血圧の低下,10mmHgを上回る拡張期血圧の低下が目安の数値として言われていますが、診断は症状が重視されます。
起き上がった際に意識の遠のき,ふらつき,めまいが起こり、また臥位にて速やかに症状は改善します。(運動または大食いが症状を悪化させることもあります。)
このため、
朝になかなか起きることが出来ない、朝の倦怠感、頭痛などがおこり、学校や仕事に遅刻や休みになってしまうなどの社会的な問題にも繋がりやすいです。
ストレスの増加やホルモンバランスの乱れなどで自律神経の乱れが起こりやすいため、心療内科に通院される方にはしばしば起立性低血圧をみとめます。
根本的なストレス原因の解消と、うつ病やパニック障害などの疾患があればそちらの治療が優先されます。
環境調整では、以下のものがガイドラインに記載されていますが、なかなか環境調整のみですぐにすっきりと改善することは難しいように感じます。
これらのお薬ではない治療では、以前の「運動の効果について」でも記載しましたが、継続的な運動をお勧めしたいです。
継続的な運動はストレスレベルの低下や精神疾患の改善と予防になり非常に体によいものです。
次回は、第一選択薬のメトリジンについて少し記載します。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平