成人・高齢者のひきこもりの方への対応 まずは診断と環境の把握
これまで障害年金を受け取っていた患者さんが、症状の軽快とともにいよいよ就労を行う開始するときに、
「就職すると障害年金はどうなるのか?」
と心配されるかたが多く、よく質問されます。
就労したことですぐに障害年金が不支給になることはおそらくありません。
障害年金を頂いている時点で、おそらく慢性経過の症状があり、そのことで社会における労働だけではなく、家庭生活の自立が難しい状況がおありなのだと思います。
障害年金は、障害をお持ちでも一所懸命働くことができるように経済的にサポートする意味合いもあるため、「安定してある程度の金額が稼げるようになる」までは基本的に障害年金が出るケースが多いです。
そのため、現在、働いている方(一般就労、障がい者就労、作業所など関わらず)でも、障害の程度や日常生活における制限、就労状況などが総合的に鑑みて、障害年金がでることが十分あり得ます。
また、「労働能力」と「日常生活能力」は必ずしも一致しないことが多いです。
これは申請診断書にも記載する重要な項目ですが、「生活には非常に苦労するが、仕事ではまあまあ稼げている方(とは言いましても、年金受給対象の額面になります)」は少なくありません。
例えば、生活は金銭管理ができず適切な買い物ができない、料理や洗濯などあらゆる家事もできない、通院も電車に一人で乗れないためヘルパーさんと来院され、日常生活能力の大きな制限を認め週数回の支援が必要な方でも、仕事の技術(マッサージ・エステ業、職人さんなど)があるため普通就労を行っていらっしゃる方もいます。
障害年金の受給条件や就労に関する詳細は、日本年金機構のウェブサイトで確認できます。
また、個別のケースについては医師などに相談することを勧めます。
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名駅さこうメンタルクリニック 院長
丹羽亮平