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被虐待者が社会的トラブルに悩むなら、〜虐待で衝動性は悪化する〜

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

前回ブログの補足です。

虐待の連鎖は、衝動性の治療で断ち切れるのではないか?

父・母のイライラをへらす治療(虐待家庭への医療的な取り組み)

 

被虐待児への医療的な対応。

 

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 虐待を受けた経験のあるお子さんが、「その後の家庭生活や学校生活で問題行動や反社会的な行動を認める」

ということは少なからずあることです。

 

 

 学校でお友達を叩く、授業中じっとしていられない、授業を妨害する

 物をこわす、かんしゃく、感情が抑えきれない

 

 店の商品を盗む、家族の財布からお金をとる、物をこわす、

 嘘をつく

 

 などが、例えば挙げられます。

 

 これを、虐待による不適切な育ちや愛情不足のせいである、と論じて現状を憂えるものですが、

現実的な解決には脳科学的な視点が必要です。

 

 以下のブログに以前記載しましたが、継続的な不適切な養育環境にて、前頭葉の萎縮などが原因で、衝動性の悪化を認めます。

 

 

 また、親が虐待を行った際には、虐待を行った親に未診断の衝動性をみとめる疾患(双極性障害、ADHDなど)を持っていた可能性があります。

 

 被虐待児の衝動性は親の持つ双極性障害やADHDの関連遺伝子を受け継いだ気質に、環境要因が組み合わさったのかもしれません。

 

 

 つまり、被虐待者の社会的なトラブルの大きなひとつの原因は衝動性の悪化であり、そこをターゲットとした心理的治療や薬物療法が有効と考えています。

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平