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父・母のイライラをへらす治療(虐待家庭への医療的な取り組み)  

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 

虐待の連鎖を断ち切れないか

上記ブログの続きです。

 

 

虐待家庭への対応について、包括的な取り組みが必要になります。

 

 

問題が起こっているのは家庭であるため、家庭(自宅)に対する介入は必須でありもっとも肝心なところです。

(しかし、もっとも難しい点でもある。)

 

 

児童相談所、保健所、その他の役所内の様々な部署のスタッフさん(例えば、先月は生活保護課の方と話し合いました。)

父・母or子供に対して、自宅訪問にて、ヘルパー、訪問看護・訪問作業療法

 

 

 

形式的な言い方にはなりますが、包括的に、医療や福祉の様々な部署と連携をとる必要が有ります。

 

 

その上で、

 

医療の範囲では、何ができるか?、ということですが、父・母へのアプローチと子供へのアプローチがあります。

 

 

今回は、主に、父・母へのアプローチについて

 

 まず、父・母の方から「子供や家族にカッとしてしまう」ことをご本人が悩まれ来院されることもありますが、

ほとんどのケースにて、ご本人は病院受診を希望されなかったり、役所の方に促され乗り気ではない形で来院されることも多いです。

 

 

 どのような来院のかたちであれ、父・母が病院に来てくださったことが、問題解決の一歩につながりますので、適切な治療関係の構築からです。

 

 

 父・母が「子供や家族にカッとしてしまう」ことを悩んでいる場合も、「カッとしてしまうことが当然の状況である」と自身では悩まれていない場合もありますが、

 

 

 ⚫️この「イライラしやすい」「カッとしやすい」といった性格傾向は、主に衝動性の高い性格によるもののため、

こういった傾向の方は、

 

 ・衝動買いが多い

 ・夫婦ゲンカや恋人と喧嘩が多い。職場でもイラッとすることが多い。

 

 ⚫️衝動性の高い方は、不注意も認めるケースもあるため、

 

 ・仕事のミスが多い。

 ・仕事がうまくこなせない。

 ・忘れ物がおおい。忘れっぽい。

 ・時間に遅刻しやすい。

 

 ⚫️もしくは、抑うつ的でイライラしやすいのかもしれません。そういった際は、

 

 ・抑うつ気分

 ・不眠

 ・不安

 

 

 おそらく、上記の症状を併せ持ち悩まれている方が多いと思います。

 また、上記の治療については前向き希望される方がおおいです。

 

 

 父・母のお話を伺いながら、初めから「虐待」の症状をメインに扱うのではなく、

「衝動性」をともなうことによる、本人にとってお悩みの症状からアプローチした方が、柔軟な対応ができるケースもしばしばあります。

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平