被虐待児への医療的な対応。
父・母のイライラをへらす治療(虐待家庭への医療的な取り組み)
上記ブログの続きです。
虐待を受けたお子さんへ対応の話です。
当然ながら、虐待を受けたお子さんに対して、まず優先されることは、安心した環境を用意することと、傷付いた心のケアです。
簡単に書いていますが、とても難しいことです。
以前経験した例では、お子さんが暴力的な父から受けていた虐待にたいして、
母は父と別居し、結局、お子さんは祖父母宅にて祖父母が育てることになりました。
その間、継続的な児童相談所の介入があったそうです。
当院には、祖母につれられ通院されていました。
通院する一番の理由は、学校生活における問題でした。
例えば、友達を叩いちゃう、授業中に集中できない、祖父母に嘘をつく、提出物を出さない、といった症状です。
これらの症状を虐待に伴う心の歪みによる問題行動と捉えるのか?
ですが、以前から、忘れ物の多さなどの不注意のエピソードもあったため、ADHDの衝動性と捉えて治療しました。
(虐待をうけることで衝動性が悪化する)
その結果、学校における友人関係や授業中の集中力、宿題等の学業面は明らかに改善しました。
また、情緒面のコントロールも改善し落ち着きを認めました。
そのうえで、プレイセラピーの効果も考え、自宅における訪問作業療法を行いました。
やはり、トラウマの内容を言語化し焦点化するカウンセリングは、成人であれ子供であれ非常に負担が大きく、
精神的な不調を招くことがあります。
作業療法やプレイセラピーとして、お子さんと遊ぶ活動を通して、こころの安定を促せられれば良いと思います。
また、訪問看護、訪問作業療法など自宅に伺う形式にて、自宅における状況や環境を医療機関が把握し介入することも意義があると思います。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平