ホーム > クリニックブログ > 抜毛症は強迫行為?衝動性の問題?

抜毛症は強迫行為?衝動性の問題?

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

毎日雨が続きますね。

土や植物が雨に濡れた街並みを歩くことは好きなのですが、さすがに晴れ間が待ち遠しいです。

 

 

受診される患者さんには、「抜毛の悩み」を伴う方がしばしばいらっしゃいます。

 

一番の受診理由ではないとしても、悩まれている方は多いものです。

 

 

「抜毛症」:繰り返し抜毛してしまい、自分でもやめたいがやめられない。抜毛することで生活に支障をきたしている。

 

 

 

 

抜毛症は上記で定義されますが、属する疾患グループがICD10とDSMⅣ・5では少し異なります。

 

 ICD10(国際疾病分類第10版)、DSM Ⅳ(アメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計マニュアル)では、衝動制御の障害だったものが、

 DSM5では、強迫症および関連症群 に移行され、 抜毛や皮膚むしり・爪噛み行動など身体を対象とする反復行動を総称する“Body-focused repetitive behaviors”(身体集中反復行動 BFRB)という用語が用いられます。

 

 

 BFRBを認める方は爪噛み、抜毛、皮膚むしり(ささくれやかさぶたを過剰にめくる、など)等の症状を複数認める方が多いです。

 つまり、抜毛をやめようとすると爪かみが悪化したり、皮膚むしりが出現したり、症状が移行するものです。

 

 

 

では、どうするのか?

 

 

 一般的に、認知行動療法など心理療法と薬物療法が挙げられます。

 心理療法・認知行動療法はやはり可能な方は行うことをお勧めします。症状の緩和と再発予防に効果的です。

 

 

しかし、こういった非薬物療法が十分に進まないケースが散見します。症状や対応を理解していてもつい行ってしまう行動なのです。

 

やはり脳機能の不適切な働きの問題であると認識させられます。

その際は、薬物療法が選択肢として挙げられます。

 

 

 

ちなみに、ストレスや不安・憂うつ気分を伴い症状の出ている方と、ただただクセとして行う方では内服薬の提案は異なると考えます。

 

 

次回、治療についてです。

 

 

・清潔恐怖と文化・風習による有病率下矢印

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/686/

 

・皮膚むしり症について下矢印

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/425/

 

 

 

 

 

右矢印うつ病・双極性障害の記事を集めました

https://meiekisakomentalclinic.com/blog_category/disease/httpsmeiekisakomentalclinic-comblog61/

 

 

 

右矢印抑うつでお悩みの方への当院の診断と対応

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/1132/

 

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平