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清潔恐怖 文化・風習と有病率

 以前、ネットニュースで男性の座位にて小便を行う人が過半数を超えたという記事を目にしたことがあります。

 これは便座の汚れを気にする言動ですが、思えば、僕が幼少期の頃に比べて社会の清潔意識に対する進化はめざましいですね。

 

 僕の幼少期、30年くらい前は、公共トイレは和式で、かなり大きくなるまでウォシュレットもなかったと思います…。

 アルコール除菌も家庭では意識しなかったです。

 

 

 精神科医の癖なのですが、こういった清潔意識に対する社会の水準が上がることについて、『不潔恐怖』『清潔強迫』と結び付けて考えてしまい、社会全体で清潔への拘り意識が増すと、これらの疾患が増えるのではないかな、と憂慮してしまいます。

 

 また、日本よりも不潔に対して寛容な国では、清潔強迫の発症が少ないのでは、と。

 

 

  しかし、データに準拠するならば、風習、宗教、経済状況によって、強迫性障害の生涯有病率は概ね2%位であり、社会文化的な影響は少ないそうです。

 

 また、強迫症状の内容(清潔強迫、確認強迫、数字恐怖、ためこみなど)についても地域差は少なく、出現様式は似ているそうです。

 

 

※日本の強迫性障害患者さんにおける出現頻度についての図です。

 

強迫症状の内容と頻度

汚染の心配-掃除や洗浄 40-45%
人や自分を傷つける心配(攻撃的-確認) 30%
正確性の追求-確認や儀式行為 30%
数字へのこだわり-数を数える 15%
対称性へのこだわり(魔術的思考)-儀式行為 10%
無用なものへのこだわり-保存 5-10%
その他 20%

                                              ※厚生省 みんなのメンタルヘルスより

 

 症状そのものが、日常生活や習慣の癖の延長のような印象を与えるため、文化風習・地域差がないことは不思議な感じがします。

 

 強迫性患者さんの調査によって、明らかにされつつありますが、やはり、強迫性障害の発生には脳形態的特徴や神経回路におけるセロトニン系の機能異常、また、疾患に関連するとされる遺伝子が大きく関与しています。

 つまり、習慣や性格、だけで強迫症状に至るのではなく、何らかの脆弱性、たとえば神経生物学的要素や心理的要因など、複雑に相互作用し、発症に至るものと考えられます

 

 

 

『強迫性障害』は症状、精神病理学的な特徴、また病態生理やきっかけなど、多角的観点からとらえて治療に繋げなくてはなりませんね。

 

 

 

 

 

 

トヨタ産業技術記念館でもらいました。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平