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新しい統合失調症の薬 ラツーダ

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 新しい統合失調症に対する薬、ラツーダ(一般名ルラシドン)が6月11日に発売されました。

 

 一般名の「ドン」から想像つきますように、SDA(セロトニン・ドーパミン拮抗薬)になります。

 

 リスペリドン(リスパダール 1996年発売)→パリペリドン(インベガ 2011年発売)→ルラシドン(ラツーダ 2020年発売)

他にロナセン、ルーランもSDAです。

 

 

◊ポイントは、

1、双極性障害のうつ状態にも適応があること

2、副作用が比較的少ないこと

 

になります。

 

 

♦効果の特徴は?

 

 リスパダールは販売されて25年ほど経ちますが、統合失調症への効果(幻聴や妄想などの陽性症状、意欲減退や感情鈍麻などの陰性症状、認知機能の改善への効果)のみならず、自閉スペクトラム症など小児疾患、強い不安や衝動性への対応など幅広い利用を現在もされております。

 そのリスパダールに比較して、ラツーダの薬が進化した点はどのような点なのでしょうか。

 

 ・ドパミン受容体とセロトニン受容体への選択性が高く作用すること。

 ・抗ヒスタミン作用や抗コリン作用が少ないこと。

 

→眠気(鎮静作用)やふらつきがすくない、体重増加が起こりにくい。

 不安や憂うつ気分にも効果あること。

 

 

 

 眠気、ふらつき、体重増加は内服中断にいたる副作用の代表格なので、この副作用のすくなさは薬として期待されるところです。

 また、半減期が22時間と比較的長いため、1日1度の処方で安定した効果が望めます。

 

 

 双極性障害のうつ状態への薬物療法は適応薬のすくないことがあります。今回のラツーダの双極性障害のうつ状態への認可は非常に大きいです!!

 

 現在、双極性障害のうつ状態に認可されているのは、一般名クエチアピン(セロクエル)、一般名オランザピン(ジプレキサ)のみとなります。

 その他、適応外でもリチウム、ラモトリギン(ラミクタール)、バルプロ酸(デパケン)、アリピプラゾール(エビリファイ)

が効果ありとの報告があり、実際の診療でもよく使われます。

 

 上記薬の中では、ラツーダは眠気やふらつき、体重増加といった内服中断になりやすい副作用、重篤な副作用とも少なく、使いやすいのではないかと思います。

 

 

 

 

 

丸ブルーデメリットは?

 

 抗精神病薬の中では副作用がすくないとはいっても、

錐体外路症状(アカシジア、パーキンソニズムなど)、中枢神経症状(眠気、だるさなど)、糖代謝異常、高プロラクチン血症

など起こりうる可能性があります。

 

 

 

今後診療で使用する中で気がつくことがあれば、また報告させていただきます。

ラツーダ含めて新薬に興味のある方はぜひ医師にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

副作用のでやすさ プラセボについて

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/977/

 

抑うつの診断について 背景 治療はどうするか?

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/1122/

 

 

 

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丹羽亮平