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治療例 treatment example

治療例①:
初発うつ病の患者さんの場合

残業が多く、日勤と夜勤を繰り返す職場です。職場の人間関係に悩み、1ヶ月前から憂うつ気分がつづきます。 夜も寝られず、何も楽しくありません。今朝から会社に行くことができなくなり受診しました。

【提案】

①しっかり休養しましょう。また、規則正しい生活を心がけてください。

診察当日に、休職に必要な診断書を作成します。
その後、傷病手当金、自立支援医療に対する診断書の依頼があれば作成します。



②初発うつ病の患者さんには、まず薬物治療(抗うつ薬)を提案することが多いです。
以下のことなどを考慮し、患者さんと話し合いながら内服薬を決めます。

(患者さんの服薬に対する抵抗が大きい時、児童患者さんには、心理療法を優先的に提案することもあります。)

初発うつ病の患者さんの場合の提案
  • 薬のスペック
  • 既往歴。現在の常用薬の有無。アレルギー歴。
  • 抗うつ薬の効果発現までの時間の希望(ゆっくり効くほうがいいか、早く効果が欲しいか。)
  • 生活における車の運転状況。

    など。

※抗不安薬、睡眠導入剤は必要に応じて処方しますが、薬物依存や多剤併用にならないように心がけます。



③復職に向け環境調整を行います。

症状が改善し職場復帰を検討する時、患者さんと話し合いながら復職に必要な条件を考え、
職場に提出する診断書に意見させていただきます。
例えば、部署の異動、短時間労働からの復職、夜勤や残業の禁止、など。



④心理検査・心理カウンセリング・心理療法

患者さんを理解する客観的な指標として、性格検査、知能検査を行うことがあります。
(もちろん患者さんからの希望でも施行します。)
心理カウンセリングは急性期から導入可能です。悩んでいる問題を心理士に相談ください。
認知行動療法、マインドフルネス認知療法、ACTは再発予防に極めて効果的です。
不安感や悩みとうまく付き合いながら生活していく思考や行動のトレーニングです。

治療例②:
数年来、うつ病に悩まされている患者さんの場合

過去に抗うつ薬の内服によって副作用が出現した患者さん。 薬の内服に抵抗のあるうつ病の患者さん。


【提案】

基本的な治療は上記の初発うつ病の方の例と同じですが、薬物療法だけではなく、
磁気刺激治療(TMS)や心理療法を積極的に提案します。

治療例③:
子供が学校に行きたがらない。育児がなんかうまくいかない場合

【提案】

子供が学校に行きたがらない。育児がなんかうまくいかない場合の提案まず患者さん、付き添いのご家族から困っていること、具体的な生活や育児の状況についてしっかり伺います。 そして必要により、心理検査や知能検査を行わせていただきます。 精神疾患(発達障害、学習障害など)を有しているのか、性格・考え方・行動の傾向が 現在患者さんの置かれている環境にミスマッチをしているのか、原因の追究と診断をより丁寧に行いたいです。

その上で、心理カウンセリング・心理療法、必要により少量から薬物治療を行います。 ご家族には、ペアレントトレーニングというお子さんとの接し方について心理士と一緒に話し合う 心理療法をお勧めさせていただきます。

また、家庭内の患者さんの生活や治療をサポートするために訪問看護の導入も極めて効果的です。 ささいなことでもお話を聞かせてください。他にも、患者さんとスポーツや体操、いろいろな遊びを通して コミュニケーションをとることができます。ご家族の悩みにも真摯に向き合います。

治療例④:
不安障害(パニック障害)の方の場合

人混みや密閉された空間(スーパーマーケット、電車・バス・自家用車内、会議中、以前発作を起こした場所など) が苦手で外出が難しい。不安が高まるとパニック発作が出現する。また発作が起こるのではないかという予期不安が強い。 家族の付き添いにて来院。

【提案】

不安障害(パニック障害)の方の場合の提案 まず、不安感の改善を目指して薬物療法(抗うつ薬)を行うことが多いです。 症状が強い時には抗不安薬の処方もさせていただきますが、 不安障害の患者さんには抗不安薬に対する依存性の高さが問題視されているため、 短期間かつ少量の処方を心がけております。

しかし、薬物療法によって不安感の軽減に至っても、 悩みの症状(人混みを避ける。電車に乗れない。など)が依然として残ることがしばしばあります。 こういった際、具体的な症状の根本的な解決として、 認知行動療法など心理療法の導入を強く提案させていただきます。  

院内において心理士と共に、具体的な状況を想定して行動や思考により柔軟性を持つアプローチを行います。 再発を繰り返したり、長年症状に悩まされている患者さんにも極めて有効な治療です。

また、心理療法を行う中で、不安感が極めて強く患者さん単独では 苦手な状況に向き合うトレーニングが難しい方もいらっしゃると思います。 そのような患者さんには、訪問看護士・作業療法士が患者さんに付き添い、 一緒に心理療法のトレーニングを行うことも可能です。(例えば、混んでいるスーパーに行く。電車に乗る。などです)