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抗うつ薬の止めどきはいつか② 抗うつ薬の長期使用について

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

前回ブログの続きになります。

『抗うつ薬の止めどきはいつか』

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/954/

 

 

 寛解後の抗うつ薬の長期連用には、うつ症状の再発・再燃効果について良い報告と不十分であるという報告があります。

 

 

 

そして、非常に恐ろしいことですが…

 

 抗うつ薬の長期連用そのものにリスクがあるのではないかという指摘です。

 

 

 たしかに、抗うつ薬そのものが強い精神活性物質であるので、長期連用に伴い、身体のバランスや働き(ホメオスタシス)を乱してしまう可能性はうなづけます。

 

 

 一部の患者さんでは、抗うつ薬の長期連用に伴い、抗うつ薬への反応の鈍化、治療抵抗性、そして抗うつ薬中断に伴う再発の起こりやすさのリスクの指摘があります。

 

 しかし矛盾するようですが、前回ブログにも記載しましたが、抗うつ薬の維持療法にて再発・再燃に対する予防効果のデータがあることも事実なのです。

 

 

 

 抗うつ薬の内服終了を検討しても良い状態として、以下にまとめると(臨床精神薬理 17:469-476,2014)

 

 

 内服中断したのちも寛解および回復を自力で維持できる、レジリエンスおよびポテンシャルを有する患者さんといえる。

 具体的に、

 ・治療抵抗性に関連する気分障害エピソードの少なさ(双極成分がすくない、再発回数がすくない)

 ・症状の重症度が高くない

 ・治療感受性が高い(初期治療の反応性が良好で、持続療法として少なくとも6ヶ月の寛解が維持され、残遺症状がなく、社会機能が良好である)

 

 かつ、患者さんの再発に関連した状況因子(規則正しい生活を行う、就労に関する調整など)を自身で把握できることなどが重要と言えるでしょう。

 

 

 

 

 他にも、維持期は急性期より低用量で継続内服することなど、内服治療を継続するとしても複数の選択が考えられると思います。

 抗うつ薬に限らないことですが、漫然と継続して内服治療をするのではなく、適宜治療について振り返り検討する必要が有ります。

 

 

 

 

クリニック向かいの『のり蔵』さん。研修医の頃からお世話になっています。

 

栄生には使い勝手の良いお店が多いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

 

院長 丹羽亮平