抗精神病薬の持続性注射薬について(リスパダールコンスタ、ゼプリオン)
DSM−5から「幻覚・妄想」を認める状態を『統合失調症スペクトラム障害』と連続したグループにしたことは、毎日診療する身では非常に納得いくことです。
治療法は、診断名で決めるというよりも、「幻覚・妄想」の症状や「抑うつ気分・躁症状」の有無、生活状況により薬物療法の種類やその他の提案をしております。
主に「幻覚・妄想」に対して使う薬を抗精神病薬といいますが、抗精神病薬には持続性注射薬があります。
幻覚・妄想症状が抗精神病薬の内服にて改善したのちに長期にわたる維持期のなかで、しばしば再発して症状に悩まされることがあります。
この症状再発の一番の理由は「アドヒアランスの低下」の指摘があります。
つまり内服治療が継続する中で、抗精神病薬を飲み忘れてしまったり、通院を自己中断することで内服中止に至ることです。
『統合失調症スペクトラム障害』の治療はきちんと通院し、決められた薬物治療を継続することがもっとも大事なポイントと言えます。
そのため、月1〜2回の投与で抗精神病薬の薬物療法が完結することは治療上とても有効なことです。
リスパダールコンスタでは2週間に1度 ゼプリオンでは4週間に1度の投与になります。
薬の飲み忘れがなくなるだけでなく、薬の効果が1日中安定することや、内服に伴う副作用がでにくい良い点もあります。
(もちろん月1〜2回の投与で薬物の血中濃度が保たれる反面、過量投与には注意が必要です。)
抗精神病薬を少量すぎない内服量で維持されている方には、持続性注射薬の提案をしています。
(例えば、1日リスパダール3mgまでの内服量の患者さんでは、持続性注射薬に変更すると過量投与になりえます。)
また、ゼプリオンでは注射の針が22〜23ゲージと比較的細いのも特記すべき点だと思っています。
ご興味のあるかたはぜひ医師まで声をかけてください。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平