幻覚・妄想の具体例。統合失調症について
『幻覚・妄想の具体例。統合失調症について』
幻覚・妄想と聞くと心の病気になったとき特有の症状のように感じられますが、軽い症状なら誰しも経験したことがあります。
幻覚とは、実際にはないものが感覚として感じられることです。
その中でも、現実にはない音が聞こえる『幻聴』という症状が、もっとも知られた症状だと思います。
僕も仕事で病院に当直している時、睡眠不足の状態で早朝にカルテを書いていたら、遠くのほうから救急車の音が聞こえたように感じたり、病棟からの呼び出しのPHSが鳴ったように感じることが何度かありました。
これも一種の幻聴に当てはまります。
睡眠不足にて身体が疲弊しているおりストレスの強い状況下で、自分にとって気になっている音が聞こえたように感じることが典型的な幻聴の例です。
妄想とは、一般常識や周囲の人から見ると明らかに誤った内容の考えを確信して持つことです。
周囲が誤っていることをいくら説明しても受け入れられません。
強迫性障害の典型的な症状にて、不潔恐怖があります。
何度手を洗っても汚れている感じがして手が荒れてしまうほど手洗いを繰り返したり、公共設備の手すりが握れないなど日常生活のささいな場面で困難が生じます。
『不潔な感じ』に対するある程度の共感はだれでもあるところだと思いますが、行き過ぎた不潔感の感覚は妄想の域に入るとも言えます。
統合失調症は幻覚と妄想、思考の障害が主な症状としてあげられます。
今回は統合失調症の幻覚・妄想の典型的な症状をあげたいと思います。
♦幻覚♦
統合失調症の患者さんは幻覚の中でも、幻聴を認めることが多いです。
幻聴の内容は、本人を批判・否定する内容や、行動を監視されているような内容が多いです。その声は、近所に住んでいる人の声であったり、知り合いの声です。
幻聴と気付ける方もいらっしゃいますが、幻聴と気がつかず実際に悪口を言われていると感じたり、監視されていると感じられる患者さんは、想像するだけでもとても大きな苦痛があります。
幻聴に対してニヤニヤ笑う反応をすることを空笑、幻聴に対話する形でブツブツ話すことを独語といいます。
幻聴以外の体感幻覚として、
身体感覚に対して『電磁波・脳波が攻撃してくる』
味覚・嗅覚に対して『毒を盛られている』
という訴えもしばしば認めます。
症状は患者さんそれぞれですが、『被害的な内容である一定の共通性』を認めることが多いです。
統合失調症の症状にて幻視はあまり認めません。
(認知症の幻覚症状では、幻視を認めることとは対照的です。)
これらの幻覚を解釈しようと、二次的に妄想的な思考が広がることが考えられます。
♦妄想♦
上記の通り妄想とは、一般常識や周囲の人から見ると明らかに誤った内容の考えを確信して持つことです。
周囲が誤っていることをいくら説明しても受け入れられません。
•被害妄想:「みんなに悪口を言われている」など思い込むこと。関係妄想、注視妄想、追跡妄想も被害妄想の一種と言えます。統合失調症にてもっとも典型的です。
関係妄想(他人の行動を自分に対するネガティブな意味に結ぶつけること。)「隣人のあの行動は自分への当てつけだ」
注視妄想「見張られている。監視カメラがある」
その他、以下のものなどがあります。
•血統妄想:「自分は天皇の血筋だ」
•宗教妄想:「自分は神の生まれ変わりだ」
•心気妄想:「自分は思い病気にかかっている」
•嫉妬妄想:妻や恋人が浮気をしている。