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物忘れとADHD

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 先日、神経内科から「もの忘れ」を主訴とする40代のADHDの患者さんが当院に紹介受診されました。

 

 最近になり生活の中で忘れ物が多く、自身では「若年性アルツハイマー」が心配になり神経内科を受診したそうです。

 

 医師の診察にて、幼少期から「落ち着きがない」「時間の管理が苦手」、大学時代の一人暮らしがゴミ屋敷のように汚かった、などのADHDを疑う症状がありました。

 また、認知機能を調べる心理検査、採血検査、脳画像検査にて異常はありませんでした。

 

 そして、よくよく話を聞くと「離婚」をきっかけに、これまで妻がしていたスケジュール管理がなくなり自身で予定の把握が難しいこと、また離婚にともなうストレスにより「物忘れ」の悪化につながったことが分かりました。

 

 そのため、ADHDの診断にて当院を紹介に至りました。

 

 

 一度獲得した認知機能が低下する認知症と、子供の頃から症状があるはずのADHDでは病態違うのに、なぜ気がつかずに『認知症』を疑うのか?不思議に思われる方もいらっしゃると思います。

 

 しかし、このようなケースは意外に少なくありません。

 55歳以下の物忘れの12%がADHDによるものであったという報告もあります。

 

 

 成人以降に受診されたADHD患者さんの受診に至った理由は主に以下の2つの状況になります。

 

 

①生活上の困りごとができた。

 

 振り返れば幼少期から、「落ち着きない」「カッとなりやすい」「そそっかしい」「忘れっぽい」「朝の準備に時間が掛かる」「片付けが苦手」などADHDを思いあたる症状があった。

 しかし、あまり困ることがなかった。

 就職・転職、結婚・出産などのライフステージの変化に伴い困りごとが生じた。

 

 

②以前から悩み事があったが、最近ADHDのことを知り自身が当てはまると思った。

 

 近年、マスメディアやインターネットにて発達障害、ADHDについて知る機会が増えました。

 自身が「発達障害・ADHDである」という認識をされる方が非常に増えていると思います。(過剰診断につながることもあります。)

 

今回の方は①に該当するケースでした。

 

 

内科・精神科どちらでも構いません。

ぜひ疑う症状があれば専門機関への受診をお勧めします。

 

 

また、ADHDの自己評価スケールになります。

気になる方は見てください。↓

https://adhd.co.jp/otona/selfcheck/

 

 

 

 

 

京都にすむ家族からもらいました。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平