物忘れとADHD
先日、神経内科から「もの忘れ」を主訴とする40代のADHDの患者さんが当院に紹介受診されました。
最近になり生活の中で忘れ物が多く、自身では「若年性アルツハイマー」が心配になり神経内科を受診したそうです。
医師の診察にて、幼少期から「落ち着きがない」「時間の管理が苦手」、大学時代の一人暮らしがゴミ屋敷のように汚かった、などのADHDを疑う症状がありました。
また、認知機能を調べる心理検査、採血検査、脳画像検査にて異常はありませんでした。
そして、よくよく話を聞くと「離婚」をきっかけに、これまで妻がしていたスケジュール管理がなくなり自身で予定の把握が難しいこと、また離婚にともなうストレスにより「物忘れ」の悪化につながったことが分かりました。
そのため、ADHDの診断にて当院を紹介に至りました。
一度獲得した認知機能が低下する認知症と、子供の頃から症状があるはずのADHDでは病態違うのに、なぜ気がつかずに『認知症』を疑うのか?不思議に思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、このようなケースは意外に少なくありません。
55歳以下の物忘れの12%がADHDによるものであったという報告もあります。
成人以降に受診されたADHD患者さんの受診に至った理由は主に以下の2つの状況になります。
①生活上の困りごとができた。
振り返れば幼少期から、「落ち着きない」「カッとなりやすい」「そそっかしい」「忘れっぽい」「朝の準備に時間が掛かる」「片付けが苦手」などADHDを思いあたる症状があった。
しかし、あまり困ることがなかった。
就職・転職、結婚・出産などのライフステージの変化に伴い困りごとが生じた。
②以前から悩み事があったが、最近ADHDのことを知り自身が当てはまると思った。
近年、マスメディアやインターネットにて発達障害、ADHDについて知る機会が増えました。
自身が「発達障害・ADHDである」という認識をされる方が非常に増えていると思います。(過剰診断につながることもあります。)
今回の方は①に該当するケースでした。
内科・精神科どちらでも構いません。
ぜひ疑う症状があれば専門機関への受診をお勧めします。
また、ADHDの自己評価スケールになります。
気になる方は見てください。↓
https://adhd.co.jp/otona/selfcheck/
京都にすむ家族からもらいました。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平