ストレスチェック制度について (うつ病を未然に防ぐ!!)
先日、東京で行われた日本産業ストレス学会に参加し「ストレスチェック制度」の話題に触れました。
この制度は厚生労働省により2015年12月から義務付けられたものです。
うつ病を含めメンタルヘルスの不調は休職に至ることが多く、そのことが原因で会社を休職した社員の42.3%が、休職制度の利用中や職場復帰後に退職しているとの調査結果がありました。
また、メンタル不調は30代以下の割合が高いため、病気を直接の原因とする退職率はメンタル不調が最も高かかったそうです。(独立行政法人「労働政策研究・研修機構」2014年)
日本全体のうつ病単独による経済的損失額は約3兆円!(この額は他の疾患よりもダントツに高いです。)とのことで、国をあげたうつ病対策のひとつとして、「ストレスチェック制度」は高ストレス状態の従業員を早期発見することで、うつ病の発症を未然に防ぐ目的があります。
「ストレスチェック制度」では、従業員50人以上のすべての事業所において年1回ストレスチェック検査が義務化され、高ストレス状態という結果がでた従業員には、希望により医師の面談を受けることができます。
チェックの内容は、以下の三つになります。
①ストレスの原因に関する質問項目
②ストレスによる心身の自覚症状に関する質問項目
③労働者に対する周囲のサポートに関する質問項目
もちろんプライバシーとして検査の回答は会社、又は人事権を持つ職員に見られることはありません。
その後、高ストレス判定の職員には、医師面談を行うことにより勤務時間の短縮など就業上の措置が検討されます。(もちろん、 面接指導の結果を理由として、解雇、雇い止め、退職勧奨、不当な動機・目的による配置転換・職位の変更を行うこと は禁止されています!)
また、医師面談について受診料など金銭的負担はありません。(発生する医療費は会社負担となっています。)
うつ病などメンタル不調を抱える方にはとても有益な制度なので、もしもストレスチェックにて高ストレスと判定された方がいれば、ぜひ医師面談を行い精神科における治療や就業上の対策を検討されることを勧めます。
僕は社会全体のうつ病が減ることを望んでいますし、ストレスが強く苦しんでいらっしゃる方の力になれるように精神科医として精進していきたいです‼︎
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平