ADHDと区別の必要な身体疾患
ADHDを疑う患者さんには、心理検査以外に必要に応じて身体的な医学検査を勧めています。
主な2つの理由は以下になります。
※実際の診療上、医学的には検査の必要性がある場合にも、患者さんにより注射が苦手であったり、安静にした状態を保つこと難しい方、経済的な理由などで検査を行わない例がしばしばあります。
患者さんごとの医学的な検査の必要性や状況により説明させていただき検査を施行します。
1、ADHDの内服薬が飲むことができるか、持病や体の状態を調べるため。
心電図、採血など
薬剤の投与前、投与中に身体機能の評価を行うことを勧めています。
肝臓や腎臓の疾患、糖尿病、高脂血症、心疾患の異常等ないか調べる必要があります。
内服薬の中には、持病がある際に悪化させる可能性や、副作用を認める可能性があるからです。
※内服薬と副作用に関係することは、また今度詳しく説明させていただきます。
2、ADHDと似た症状を持つ身体疾患を除外・特定するため。
ADHDと診断するためには、不注意、多動、衝動性を認める身体的疾患を除外することが必要です。現病歴、発育歴、家族歴、持病の有無などを聴取することはもちろんですが、検査を含めて系統立てて症状を把握していきます。
・採血では、甲状腺機能障害、貧血、低血糖を認める疾患、などを認めることがあります。
・神経画像検査(頭部CT・MRI検査)では、脳腫瘍、脳炎、脳奇形、などを認めることがあります。
・脳波検査では、おもにてんかんを調べます。てんかん発作に関連した症状がADHDと間違われることがあります。また、てんかんとADHDを合併する可能性も否定できません。
・ほかに、視力検査・聴力検査なども挙げられます。
小児患者において、日常生活レベルでは気が付かない軽度の視力低下・聴力低下により、親や教師の言葉や指示を受け取りにくく、結果として不注意、落ち着きのなさ、学力低下を招いていることがあります。
また、アトピー性皮膚炎のかゆみなどの身体症状にても、ソワソワよく動いたり集中力が低下した症状を認めることもあります。
検査以前に、問診においてこれらの身体症状を見落とさないように気をつけたいところです。
当院では、上記検査の中で、採血、心電図、脳波、その他、睡眠時無呼吸症候群の検査を行っております。
また、当院で行っていない検査についても、近隣の総合病院への検査依頼も可能です。
これらについて疑問な点や検査のご希望があればぜひ医師や受付までぜひ声掛けをしてください。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平
参照:『注意欠如・多動症 ADHD の診断・治療ガイドライン 第4版』 じほう