無気力な認知症の患者さんへの治療薬 ~レキサルティ。

基本的にクリニックで診察しておりますが、
依頼があれば、向かいの名鉄病院の往診に行きます。
往診依頼では、入院されている認知症患者さんの問題行動や精神症状への治療についてご相談を頂くことがしばしばあります。
原因疾患は様々ありますが、高齢者の認知症患者さんのケアする中で、
BPSD「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:認知症の行動心理周辺症状」
が問題となることは少なくありません。
BPSDには、気分の落ち込み、不安、妄想、暴言・暴力、徘徊など、多様な精神症状や問題行動を含みます。
BPSDが治療対象となるのは、患者さんご自身の苦痛感を減らすことと、また、患者さんを介護するサポーターの負担を減らすことが目的となります。
さて、厚生労働省がオープンにしている
「かかりつけ医に対するBPSDへの向精神病薬使用」のガイドラインがあります。
一般の方が見ても比較的わかりやすいガイドラインなのですが、
まだ、こちらに記載されていないBPSD対応の向精神病薬があります。
それは、レキサルティです。
レキサルティの日本発売が平成30年なので、平成27年に作成されたガイドラインには載っておりません。
レキサルティ(ブレクスピプラゾール)は、統合失調症への薬物療法が主な使用となりますが、BPSDにも保険適応があります。
BPSDでは、特に興奮や攻撃性、易刺激性の軽減に効果があるとされていますが、無気力・アパシーの改善も期待できます。
薬物治療への選択肢の一つとして、ぜひご考慮ください。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平
・子どものこころ専門医
・日本児童青年精神医学会 認定医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
・精神保健指定医