統合失調症への期待される新薬 コベンフィ(Cobenfy)について

前回↓
統合失調症のゲームチェンジャーになる新薬コベンフィ(Cobenfy)
前回の続きになりますが、もう少しコベンフィについて詳しく書きます。
コベンフィは現在(R7年4月)時点で日本では認可が下りていませんが、
アメリカでは昨年10月に認可されました。
統合失調症に対しての治療薬について、
1950年代にクロルプロマジンが開発されて以来、定型精神病薬→リスペリドンが1990年代に販売されてから非定型精神病薬が進んできました。
より副作用が少なく、幻覚・妄想(陽性症状)を抑えるだけではなく、気分症状(陰性症状)の緩和をアプローチしながら進化してきましたが、、
これらの既存の抗精神病薬に共通することはドーパミンD2受容体を遮断することで効果を発揮することです。
そのためかなり進化をしたとは言えども、以下のような課題が抗精神病薬にはありました
1、陰性症状や認知機能障害への効果が限定的。
2、錐体外路症状(運動障害)や高プロラクチン血症などの副作用が多い。
3,体重増加や代謝異常といった長期的な健康リスク。
これに対し、コベンフィは、ムスカリン受容体(M1およびM4)を活性化することで効果を発揮します。
この作用は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやグルタミン酸のバランスを間接的に調整することにより、統合失調症の症状を改善します。
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M1受容体: 認知機能や記憶、学習に関与しており、これを活性化することで認知機能の改善が期待されます。
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M4受容体: 過剰なドーパミン活動を抑制し、幻覚や妄想などの陽性症状を緩和します。
また、コベンフィは2つの成分、キサノメリン(ムスカリン受容体アゴニスト)とトロスピウム(末梢副作用を軽減するムスカリン受容体拮抗薬)を組み合わせた薬剤です。
この組み合わせにより、効果を最大化しつつ副作用を最小限に抑えることが可能といわれています。
コベンフィはドーパミンD2受容体を直接遮断せず、ムスカリン受容体を活性化することで間接的にドーパミン活動を調整します。
この新しいアプローチにより、
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認知機能の改善: 従来の薬では難しかった認知機能障害への効果が期待!
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副作用の軽減: 錐体外路症状や体重増加のリスクが低い。
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新しい治療選択肢: 他の薬が効かない患者にも効果がある可能性が示されています
などの良い点があると考えられます!
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平
・子どものこころ専門医
・日本児童青年精神医学会 認定医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
・精神保健指定医
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