ホーム > クリニックブログ > 小児に精神科薬を処方する時に気を付けること

小児に精神科薬を処方する時に気を付けること

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

多くいらっしゃるわけではないですが、
小児と大人の家族で受診されて、それぞれ同じお薬を処方されて内服する方がいらっしゃいます。
 
 
例えば、ADHD薬や、エビリファイ(アリピプラゾール)などです。
 
 
お薬の種類にもよるのですが、案外、
 
小学生くらいのお子さんと成人患者さんで内服量があまり変わらない薬剤もあるのです。
(もちろん添付文書上の指示にしたがった処方量です。)
 
 
 
体重や体格に大きな差があるのに不思議に思われるかもしれません。
 
 
 
 

児童患者さんに薬物を処方する際に、以下の点に注意する必要があります。

 
 
 
 小さいお子さんは成人と明らかな体格差がありますが、体重で調整すると、肝臓や腎臓の重さは相対的に成人よりも大きくなります
 
 また、小児は体水分が比較的多く、脂肪が少なく、薬物が結合する血漿アルブミンが少ない傾向にあります。
 
 その結果、小児は肝臓を通った時の薬物の吸収量が多く、生物学的利用率が低く、代謝および排泄が速くなります。
 
 つまり、子どもの体重に比例したかたちで、成人の投与量よりも少ない量を投与してしまうと、血中濃度が上がらず薬物の効果が十分に得られない、ということです。
 
 
 
とはいっても、
基本的には、成人も小児も種類・量とも多く処方しすぎないように気を付けています。
 
安全性と有効性のバランスが大事です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

以下は、FDA(米国食品医薬品局)において選ばれた向精神薬と小児における有効性のエビデンスレベル(18歳未満)をまとめたものです。

薬剤名 対象疾患 有効性のエビデンスレベル 米国FDAに承認された適応年齢(年単位)
メチルフェニデート及びデキストロメチルフェニデート ADHD タイプⅠ 6歳以上
アンフェタミン ADHD タイプⅠ 3歳以上
アトモキセチン ADHD タイプⅠ 6歳以上
クロニジン ADHD タイプⅠ 6歳以上
グァンファシン ADHD タイプⅠ 6歳以上
フルオキセチン うつ病 タイプⅠ 8歳以上
セルトラリン OCD タイプⅠ 6歳以上
エスシタロプラム うつ病 タイプⅠ 12歳以上
リスペリドン 統合失調症、双極症、攻撃性 タイプⅠ 5~16歳
アリピプラゾール 統合失調症、双極症、攻撃性 タイプⅠ 6歳以上
リチウム 双極症 タイプⅢ 7歳以上
 
 
有効性のエビデンスレベル(タイプⅠの方がエビデンスレベルが高い)
  • タイプⅠ: よく計画された複数の無作為化比較試験の少なくとも1つの系統的レビューから得られる強いエビデンス。

  • タイプⅡ: 少なくとも1件の適切に設計された無作為化比較試験から得られる強いエビデンス。

  • タイプⅢ: 無作為化、単群、事前‐事後、コホート、時系列、または患者対象研究を行わない、十分に計画された試験からのエビデンス。

  • タイプⅣ: 2つ以上の施設または研究グループによる、よく計画された非実験的研究からのエビデンス。

  • タイプⅤ: 臨床的証拠、記述的研究または専門委員会の報告書に基づく、尊重される当局の意見

 
 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平

 

 


・子どものこころ専門医
・日本児童青年精神医学会 認定医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医
・日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
・精神保健指定医
 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

当院ホームページはこちらより

https://meiekisakomentalclinic.com

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

 

〒451-0052

愛知県名古屋市西区栄生2-7-5 キョーワ調剤薬局2F

電話 : 052-551-7717

FAX : 052-551-7727