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聴覚情報処理障害(APD)の治療・対処法について

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

前回ブログのつづきです。↓

 

聴覚情報処理障害(APD)の相談が増えていること

 

 

聴覚情報処理障害(APD)のチェックリスト

 


 聴覚情報処理障害(APD)は、聴力には問題がないにも関わらず、音声の聞き取りや処理が困難である状態を指します。この障害では、日常生活において、学校生活や就労場面など少なからず障壁となります。

 

 脳の特性であるため、完治を目指すことはむずかしですが、適切な対策と支援によって、症状によるお困りを軽減することが可能です。





 APDの治療法には、標準化された治療ガイドラインは存在しませんが、個々の症状やニーズに合わせたアプローチが提案されます。

 一般的に用いられる治療法を紹介します。

 

 

丸レッド環境調整
 

   雑音の少ない環境を作ることや、聞き取りやすい環境を整えること、また、そのために周囲の方に症状を理解して協力してもらうことが重要です。

 

例えば、教室や会議室では、APDを持つ人が話し手に近い位置に座ることが推奨されます。

 

他にも

 

・話者にゆっくりはっきり話してもらう。 

 大事な内容はメールやプリントなど文面化してもらう

 

・口頭説明にたいして、 音声をテキストに変換するアプリケーションや音声入力機器を使用すること

 

・話者にデジタル補聴援助システム(Roger)の送信機を使用してもらう、

 

など、周囲の協力や環境調整にて症状の軽減が期待されます。

 

 

丸レッドデジタルワイヤレス補聴援助システム「Roger」

 

 先ほども記載しましたが、話し手の声を直接耳に届けることで、聞き取りを助けるデバイスです。特に集団での会話や騒がしい環境でとても有効です。

 

 

 

     

丸レッド聴覚トレーニング


   聴覚トレーニングは、特定の音を識別したり、背景雑音の中で会話を聞き取る能力を向上させるための練習を含みます。

 

 例えば、会話の際には、ゆっくりと明瞭に話す、重要な情報を繰り返す、話し手の顔を見て口の動きを読むなどのトレーニングが有効です。

 このトレーニングは、専門家の指導のもとで行われることが多いです。


 

丸レッド心理的支援・自閉スペクトラム症・注意欠如多動症への治療


    自閉スペクトラム症や注意欠如多動症については、それぞれの詳しい説明が説明が必要になりますが、簡単に言いますと、上記の環境調整や聴覚トレーニングに併せて、薬物療法が奏功するケースが少なくありません。

 

 例えば、

  感覚過敏にて、教室のざわざわした音や匂いに抵抗感のある方は、感覚過敏を緩和する内服薬が有効です。

 

  注意欠如多動症が併存し、話者の話に集中し続けることが難しい方は、注意力を向上する内服薬があります。

 

 

 他にも、「話の聞こえ」は心理的状況が大きく影響します。

 

 来院された方には、もともと「話の聞こえにくい」傾向のある方で、職場を原因とする不安神経症を発症してから、「話が聞き取れなくなった」と悩まれる方もいらっしゃいます。

 

 不安や抑うつ症状などに対して、心理カウンセリングや抗うつ薬など薬物療法が有効なことがあります。

 

 

 



 APDは、適切な対応と支援を通じて、その影響を軽減することができる障害です。専門家の助けを借りながら、個々の状況に合わせた治療法や対策を見つけることが重要です。

 

 お困りの方はご相談ください。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平

 

 

 

 

 

 

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