自律神経失調症・起立性低血圧の説明
毎日が少しずつ涼しくなり、季節の変わり目を感じます。
毎年、この時期、訴えとして多くなるのが、台風や気候変化に伴う「自律神経失調症症状」です。
自律神経失調症とは、自律神経(交感神経と副交感神経)が適切に働かないことで不調を来たす症状をまとめた病態名です。
検査にて器質的な疾患が否定され、治療が優先される明らかな精神疾患がない状況において、「自律神経失調症」に典型的な症状を認める病態といえます。
(例えば、動悸の原因が不整脈であれば自律神経失調症とは言わない。)
確立した診断基準や疾患概念があるわけではありませんが、典型的な症状と原因があるため「自律神経失調症」として、症状に対応して治療に繋げていきます。
自律神経は人のあらゆる活動に関わっているため、自律神経失調症状は多岐に渡りますが、よくある症状は以下のようなものです。
心血管系:動悸
消化器系:食欲不振、腹痛、吐き気、下痢
神経系:めまい、頭痛、手足のしびれ、肩こり、腰痛、全身の疼痛
内分泌系:月経前症候群の悪化など
精神系・その他:不眠、気分の落ち込み、不安、疲労感、息切れ
これらの症状が、
様々なストレス、環境変化(天気など)、生理前などのホルモン変動、睡眠不足などの不規則な生活などの原因により引き起こされたり悪化します。
~起立性調節障害~
自律神経失調症は脳内の自律神経中枢が適切に機能せず、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて様々な症状が出るものであり、その一種である起立性調節障害は特に訴えとしておおいものです。
起立性調節障害は自律神経失調症としばしば混同されますが、診断基準が明確である点が大きな差異となります。
最近は小学生~高校生で起立性調節障害を認め、起床困難や不登校に繋がることが問題となります。
起立性調節障害は心臓・血管系の自律神経調整(圧受容器反射など)の何らかの障害にて起立時に身体や脳への血流が低下する病気です。
起立性調節障害の主なものは以下、
・起立性低血圧(OH)
・体位性頻脈症候群 (PoTS)
・神経調節性失神 (NMS)
自律神経とは、交感神経(やる気の出る時に上がる)と副交感神経(リラックスする時に上がる)のバランスで調整されます。上記の病態を交感神経の働きで説明すると、
起立性低血圧:交感神経の活動低下
体位性頻脈症候群:交感神経の活動亢進
神経調節性失神:交感神経の不適切な活動亢進と活動低下
と説明できる近い病態の疾患群です。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平