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新型うつ病(非定型うつ病)と双極性障害の違い

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

新型うつ病(非定型うつ病)について、「気分の落ち込みが継続する中で、喜びを感じることもある」と説明しましたところ、ブログを見てくださる患者さんから

 

非定型うつ病・新型うつ病と双極性障害は何が違うのか?

 

 

というご質問をうけました。

 

 

 

 これは非常によい質問です。

 

 

 明確な違いは、

 

 非定型うつ病は「気分反応性に基づく症状が多い」ということになります。

 

 

 例えば、非定型うつ病の症状の例です。

 

 

丸レッド職場の同僚の発言をきっかけに落ち込みが出現。

 連日、継続して気分の落ち込みが続く。

 眠気や全身のだるさが強く横になって過ごす時間が長い。

 

丸レッドしかし、友人から誘われて好きなアーティストのライブ行くと、とても楽しかった。

 

丸レッドけれども、会社からのメールに気が付き、過去の嫌な体験を思い出し、再度落ち込む。       再度、全身が鉛のように重く起き上がれない日が続く。

 

 上記のように、気分の落ち込みにも高揚にも、明確なきっかけがあることがわかります。

 

 

 これは非定型うつ病の典型的な経過といえます。

 

 

 

 一方、双極性障害は、うつ状態と躁状態という気分の波を期間で認めることが特徴で、気分が高揚する躁状態と落ち込むうつ状態が交互に現れることが一般的です。

 

 双極性障害のうつ状態は、非定型うつ病と似た症状を示すことがありますが、双極性障害の場合は明確な前触れなく気分の変動が起こることがあります。

 

 また、典型的な躁エピソードを繰り返し認めることが多く、継続的に症状を観察することで診断が可能になります。

 

 

 例えば、

 

 躁期になると、

 服装が華やかになり、睡眠時間が短く、友人との予定が増える。衝動買い増える。

 

 このようなエピソードを繰り返すと、双極性障害という診断が妥当性を持ちます。

 

 

 非定型うつ病も双極性障害も、ただ診断項目をチェックリストのようにカウントして診断に至るわけではなく、症状を継時的に見ることや、生活背景なども加味されるものになります。

 

 

 

また、非定型うつ病も双極性障害は治療方針が異なる点(双極性障害には抗うつ薬は使わない。)から、適切な診断が治療回復への第一歩として特に重要になります。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

 

丹羽亮平