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新型うつ病(非定型うつ病) パーソナリティ障害?

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

非定型うつ病とは、『新型うつ病』とも表現されますが、

1994年にDSM Ⅳで定義されたことから広く認知されるようになった、比較的新しい疾患といえます。

 この数年で診断される方が非常に増えています。 

 

 

 

 例えば、通院されている患者さんですが、

前医で「境界型パーソナリティ障害」と診断され、治療をいろいろ行うも改善せずに、当院にいらっしゃった方がいます。

 

 

 

・恋人とうまくいかなくなってから気分の落ち込みが強く、1日中ふさぎ込んでいる。

 恋人に言われた発言がひとつずつ気になり、ネガティブな思考に繋がる。

 

・イライラして、相手に暴言をぶつけることがあるが、そのあと過度に落ち込む。

 

・一方で、友達と一緒に行く食事や、好きなアイドルのコンサート、旅行は心から楽しめる。(しかし、これらのイベントが終わると、再度、気分が落ち込む)

 

・身体が鉛のように重くて、家では横になることが多い。また、過眠傾向。

 体がだるくてバイトを休むことがある。家事などはほとんどできてない。

 

・ストレスでおやつを食べてしまう。

 

・振り返ると、学生時代から教師や友人の評価や、他人から嫌われることへの不安が強かった。そのため、課題は丁寧に行い期日を守るため、教師からの評価が高かった。

しかし、学生時代から交流の続く友人が多く、対人関係の不安定さとは言えない

 

 

 

 こちらの女性は非定型精神病(新型うつ病)と診断し、抗うつ薬をメインとする薬剤療法を施行。

 

 また、非定型精神病の方には、他疾患との併発や、もともとの養育環境・トラウマとなるエピソードなど、背景に悩みを抱える方が少なくありません。

 

 上記の方では、家庭環境を言及した心理的アプローチと行動療法が極めて有効でした。

 

 

 

 

 

 

まず今回、非定型うつ病の診断基準とうつ病との違いを記載します。

 

 

 

 

*非定型うつ病(新型うつ病)

 

 

 うつ病カテゴリーのサブグループに所属するため、基本的には、気分の落ち込み・抑うつ気分がメインの症状となるのですが、他の症状や行動傾向が、従来のうつ病と異なるため『非定型うつ病』と言われます。

 

 

 

特徴 うつ病 非定型うつ病
気分の反応性 良いことが起こっても気分が改善しない 良いことが起こると一時的に気分が改善する
(気分反応性が高い)
喜びの喪失 ほとんどすべての活動において喜びが失われる 特定の事は楽しく行うことができる
日内変動 朝に抑うつ状態が悪化する 特に日内変動は見られない
食欲と体重 食欲不振や体重減少が見られる 食欲増加や体重増加が見られる
睡眠 早朝覚醒 過眠の傾向
身体の重さ 特に感じない 鉛様の麻痺(身体が重く感じる)
対人関係 特に過敏性は見られない 長期に渡る対人関係の過敏性が見られる
(人間関係に不安を感じやすい。緊張しやすい。等)

 

 

 

 

DSM-5の非定型うつ病の診断基準

 

 

  1. 気分の反応性: 楽しい出来事があると気分が一時的に改善する。

  2. 以下のうち2つ以上が認められること:

    • 有意な体重増加または食欲増加
    • 過眠(過剰な睡眠)
    • 鉛様の麻痺(身体が重く感じる)
    • 対人関係での拒絶に対する過敏性
  3. メランコリアの特徴(従来の大うつ病の症状)や緊張病(幻覚・妄想など)の特徴を伴わないこと

特徴

  • 気分の反応性: 非定型うつ病の最大の特徴で、落ち込んでいても楽しい出来事があると気分が改善します。
  • 過眠と過食: 定型うつ病とは異なり、非定型うつ病では過眠や過食が見られることが多いです。
  • 鉛様の麻痺: 身体が鉛のように重く感じ、動くのが困難になることがあります。
  • 拒絶過敏性: 他者からの批判や拒絶に対して過度に敏感になり、些細なことでも大きく落ち込むことがあります。
 
 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平

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