抗うつ薬の離脱症状
しばらく内服していて体に慣れた薬を急に中断することにより出現する症状を離脱症状をいいます。
抗うつ薬では、この離脱症状を認めやすく、急に断薬や減薬することで、気分や体調の悪化を訴えられる方が少なくありません。
抗うつ薬の中でも、三環系抗うつ薬は抗コリン作用が関連し、SSRIはセロトニンが足らなくなることに伴う離脱症状が起こりやすいです。
・イライラ、焦燥感、不眠、抑うつ症状の悪化
・身体症状(めまい、吐き気、頭痛など)
等の症状があります。
しばしば認めるケースでは、もともときちんと服薬される患者さんでも、
・旅行など移動時に抗うつ薬を持って行き忘れて悪化されるケース
・妊娠が判明し内服薬への不安が高まり、抗うつ薬を自己判断で減薬して離脱症状が出現するケース
などです。
最近は、患者さんがネットなどで内服薬をよく調べられることが多いので、以前より、内服薬の自己中断や減量をされる方が減っておりますが、
何かしらの理由で離脱症状が出た際は、まずは元の量の内服薬を飲まれることを勧めます。
(離脱症状が出現後1週間以上経って診察にみえる場合など、患者さんの希望によっては減量を継続することもありますが、それは診察にて主治医にご相談ください。)
また、離脱症状が出ることについて
・抗うつ薬の体への依存性があるのではないか
・うつ病の再発ではないか?
と心配されるお話を聞きますが、
「急な減薬・中断に伴う症状悪化」は離脱症状によるもので、うつ病の再発ではありませんし、抗うつ薬には依存性はありません。
(抗うつ薬を減薬・中断した状態が長期に続くことによっては、うつ病の再発はあり得る)
また、一般的に半減期が短く代謝の早い薬ほど離脱症状は出やすいと言われておりますが、
・パキシル、イフェクサーは比較的離脱症状が起こりやすい
・レクサプロ、トリンテリックスが起こりにくいです。
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丹羽亮平