うつ病にトリレキ療法 (トリンテリックス+レキサルティ)
うつ病に対する抗うつ薬単剤による効果は30~65%くらいといわれており、1剤の抗うつ薬にて十分量を十分期間、内服しても効果が得られない際は、他の抗うつ薬への薬剤変更が推奨されています。
2剤目の抗うつ薬にても同様に十分な効果が出ないときには、治療抵抗性うつ病と呼ばれ、増強療法(augmentation:オーグメンテイション)考慮することになります。
増強療法では、クエチアピン、炭酸リチウム、ラモトリギンなど有効性が言われるものは複数あるものの、認可のある薬はしばらくアリピプラゾール(エビリファイ)だけでした。
しかし、2023年12月ブレクスピプラゾール(レキサルティ)が抗うつ薬の増強療法に用いることが承認されました。
レキサルティについて、
・ドパミンD2受容体・セロトニン5HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用
・セロトニン5HT2A受容体・アドレナリンα1B・α2C受容体に対するアンタゴニスト作用
を示す薬剤です。
アリピプラゾールよりもセロトニン系およびアドレナリン系に作用し、ドパミンD2受容体への刺激作用を弱めた特性を持つ。
また、有害事象として、代謝性障害(体重増加など)、錐体外路症状(アカシジアなど)のリスクのが低さが評価されている。
昨年から、抗うつ薬の主剤としてトリンテリックスを使う機会が増えたのですが、増強療法としてレキサルティを加えた際の効果が良いと感じています。
トリンテリックスはもともと抗うつ効果が高い一方で副作用は少ない薬剤なのですが、吐き気の副作用が出現するケースが時折ありました。
この吐き気の緩和と抗うつ効果の増強を感じております。
上記は個人的な診察における感想ではあるのですが、勉強会等でもトリンテリックス+レキサルティは「トリレキ」と略されるなど期待される治療となっています。
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平
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子どものこころ専門医日本児童青年精神医学会 認定医
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