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自閉スペクトラム症と統合失調症の関連

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

統合失調症の入院はへっている。自閉スペクトラム症との関連は?  

 

↑との関連ブログになります。

 

前回のブログにも書かせていただいたことですが、

 

 精神医学の初期は統合症と自閉症の境界が不明瞭でしたが、1960年代以降、徐々これらは区別されるようになりました。

 まず、DSM Ⅲでは、広汎性発達障害に「統合失調症のような幻覚、妄想、連合弛緩、滅裂が存在しないこと」、と記載されておりましたが、

 

 DSM Ⅳ以降(DSM5まで引き継がれる)は、

 統合失調症の診断基準に対し「自閉性障害や他の広汎性発達障害の既往歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が少なくとも1ヶ月存在する場合にのみ与えられる」と明記され、合併があり得るものとして記載されています。

 

 

 また、疫学研究でも両者の関連は言われており、自閉スペクトラム症(ASD)患者は健常者と比較して3〜4倍ほど統合失調症の有病率が高いこと、そして、統合失調症を家族歴に持つ方のASD有病率の高さも判明しております。

 

 

 そして、症状という観点でも、統合失調症の陰性症状の中の、特に「感情の平板化」は、ASDの「対人相互交流の障害」との区別は難しいです。

 

 ASDの感覚過敏症状もストレス時や不安時に悪化し、自己と他者の境界の低下がおこり、幻覚・妄想様症状が起こることはしばしばあります。(悪口を言われている気がする。見つめられている気がする。など)

 

 

 また、数年前、名古屋大学大学院精神科分野の研究グループにて、ASDと統合失調症のゲノムコピー数変異の重複が認められ話題となりました。

 

自閉スペクトラム症と統合失調症

2つの精神疾患における発症メカニズムのオーバーラップを発見~ゲノム医療への展開に期待~

https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/research/pdf/Cell_R_20180912.pdf

 

 

これらの研究にて、統合失調症についてより早期診断と早期の治療的介入が可能になると良いと思います。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平