ペットがうつ病や不安、不登校の改善に良い?
ペットを飼うことは精神的・身体的な健康にポジティブな影響を持つことは以前から言われていました。
精神的な影響について、これまで何度も研究テーマとして挙げられましたが、
結果としては、「ペットが飼い主に良い影響をもつことが予想されるが、データとして示せない」というのが、結論のようです。
そのため、以下は文献をふまえて日常診察から受けた考えです。
1、ペットが心の支えになること
ペットとの日常的なふれあいや愛情の交換は、オキシトシンの分泌も関連して、ストレスの軽減や孤独感・不安感の低下、リラックス効果があると言われています。
また、日常的にペットからのも必要とされることは、自己肯定感の改善やコミュニケーションへの自信に繋がることも理解できます。
ペットと飼い主の双方向性の精神的に良い影響が期待できそうです。
2、ペットへの責任がもたらす行動
生き物に責任をもって世話をする、という責任感の意識そのものもとても重要ですが、
責任感に伴う行動が毎日習慣づくことが最大の良い点ではないかと思います。
・世話をするために(ペットに喜んでほしい、顔がみたい等のポジティブな動機)、早く起床してする、毎日散歩するなどの良い生活習慣が身につく。
・ペットの健康状態や精神状態を気遣うこと。(→ひいては自身の健康状態や精神状態を俯瞰することになる)
・世話をするためにこだわりや強迫症状(清潔強迫など)に向き合う機会になるかもしれない。
→精神症状に向き合い改善をするきっかけになりうる。
規則正しい生活や良い社会生活の習慣につながることが期待できる。
例えば、生活が不規則で朝の起床困難なお子さんが、犬を飼うことで毎朝起床し散歩に行くことにより、生活改善につながったケースを何例か経験しております。
もともと動物好きな方で、責任感をもって世話できる方にとって、ペットを飼うことはメンタルヘルスについて良い影響が期待できると思っています。
しかし、ペットは生き物であるため、飼い始めて途中で世話を辞めることや放棄することは決してあってはならないことです。
もし、『ペットによるメンタルヘルスへの良い影響』を期待して飼う際には、自身と家族の状況や継続的に世話をする能力を考慮の上、お決めください。
適応障害の診断基準 具体例とともに (meiekisakomentalclinic.com)
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平