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過食症について 現在の症状を治療すること

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

夜間のこまった行動について 過食・自傷行為など

 

にて、衝動性や欲求のコントロールの難しさに伴う、夜間の過食行動について記載しました。

 

 

 

 過食は、このように衝動統制の問題が大きく関わります。

 

 また、過食行動は、やめたいと思っても辞められない依存性、自身の精神面・身体面を傷つける自傷行為といった側面もありますが、すべて「感情や行動を自身でコントロールできずに不適切な行動を繰り返す」というグループに括られると解釈できます。

 

 他にも、摂食障害や依存症、自傷行為は、

 

 •幼少期からの不適切な養育環境があった

 •生育過程の愛情不足  

 

 といった、成育歴や養育歴に摂食障害・依存症・自傷行為との因果関係を認めることはしばしばありますが、

 

 治療の観点でいうと、患者さん本人が過去の出来事に着眼して打ち明けたほうが楽になるケースであれば、過去の出来事を診察やカウンセリングなどで分析的な解釈も取り入れてお話を伺います。

 

 しかし、過去の出来事やトラウマを想起することがつらい患者さんも多く認め、その際はあまり過去を深掘りせず、現在の症状である衝動的な不適切な言動、不安、抑うつ、パニックなどにアプローチします。

 

 環境調整の他に、診察ではおもに薬物療法がメインとなることが多いと思います。

 

 また、現在の症状に薬物的アプローチをおこなうことで情緒の安定性が得られると、過去の出来事への解釈が変化したり、トラウマ体験を心理的に消化しやすくなることがあります。

 

 原因となりえる過去の体験に適切に向き合えるならば、一層の症状改善に繋がります。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平