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夜間のこまった行動について 過食・自傷行為など

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 

患者さんとお話をしていますと、

 

「夜にお菓子、カップラーメンなどをつい食べてしまう」

「夜にリストカットしてしまった」

「夜になって家族と大喧嘩をした」

 

 

こういった、夜の困った行動はよく伺うものです。

 

 また、このような「夜間のついやってしまったお困り行動」は、

一般的に上記ほどのものではないにしても、誰しも思い当たることがあるのではないでしょうか?

 

 

 

医学的には、「脱抑制」というワードがあります。

(↓厚生労働省のe-ヘルスネットからの抜粋です。)

 

 

 

脱抑制とは、

 

薬物やアルコールといった外的な刺激によって抑制が効かなくなった状態のこと。

 

「 脱抑制とは、状況に対する反応としての衝動や感情を抑えることが不能になった状態のことを指します。

 

 脳の外傷、特に前頭葉の損傷では共通した症状としてみられるほか、せん妄、躁状態、薬物・アルコールの影響下にある人にも認められます。

 

 脱抑制にある人は感情のままに行動したりその瞬間の反応で行動する傾向が強いため、一般健常者のように人前で礼節を保とうとしたり、社会的に逸脱しないようにしようとするといった正常なコントロールが失われた状態になっています。

 具体的な症状としては、後先を考えずに行動したり、感情をむき出しにしたり、場違いな言動として現れます。

 

 例えばアルコールの影響による脱抑制の場合、アルコールにより神経系の活動が抑制されることにより、脳の高次機能としての抑制機能が失われて、感情や欲求が抑えられなくなります。」

 

 

 

 つまり、飲酒や睡眠剤などをつかうことで前頭葉機能が低下すると(ぼんやりすると)、普段なら我慢している欲求や行動、発言が抑えきれなくなることがあります。

 

 また、こういった原因となる物質がなくても、夜間の疲れて眠い時は、脱抑制のような現症がしばしば起こりえます。

 

 そのため、夜には過食や自傷行為、不適切な発言が日中に比較してふえるのです。

 

 

 また、これは寝ぼけている状態だったりもするので、自身の言動を自分では覚えておらす、認識していないこともあり得ます。

 その際、家族はとても困るけれども本人は気が付かないことになります。

 

 

 

 

 

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丹羽亮平