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適応障害の診断、具体例とともに

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 

 

年度末でしばらくいそがしく過ごしておりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 街中の桜も満開を迎え、春の到来を実感しています。

 

 毎日、精神科診療をしていますと、春・夏・秋・冬と季節ごとの疾患の傾向を意識しますが、

春~初夏にかけてご相談の多いものは、適応障害です。

 

 

 一般的にも「適応障害」という病名は浸透しつつあるように感じますが、しばしば「うつ病」と混同されて使われていると思います。

 

 

 

 適応障害の診断は、ICD10、DSM5の基準にて診断されますが、基本的な診断基準の認識は以下のものです。

 

 

1、明らかに認識しているストレス原因があり、そのストレスに晒されて3か月以内に症状が出現すること

 

2、精神的な苦痛感や精神症状、行動上の問題が非常に大きく、仕事、学業、家庭生活などに支障を来たすレベルであること
 

3、他の精神疾患ではないこと。死別反応でもないこと。

 

4、ストレス原因がなくなると症状は改善し、6カ月以内には消失すること

 

 

 

 

・症状とは、うつ、不安、イライラ、頭痛・吐き気・めまいなど自律神経失調症状など

 

・行動上の問題とは、朝が起きれなくて仕事・学校にいけない、不登校、暴力などです。

 

 

 

 

DSM5には、症状について、

 

「症状の重症度や表現型に影響を与えうる外的文脈や文化的要因を考慮に入れても、そのストレス因に不釣り合いな程度や強度をもつ著しい苦痛」

 

と記載があります。

 

難しい言い回しがされていますが、例を挙げるとわかりやすいと思います。

 

 

 

 

例えば、

 

 職場にてミスをして上司から注意を受けた際に、数日くらい落ち込むことはあると思います。

 

 しかし、上司の発言を繰り返し思い出してしまう。そのたびに冷や汗や胸が苦しくなる。

このことが不安で、抑うつや不眠を認め、職場を休みがちになる。

 

➡このような、ストレス因に対して不釣り合いな強度の症状を認める際は適応障害となります。

 

 

 

 

 

 

 

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丹羽亮平