大豆(トリプトファン)で抗うつ効果、抗不安効果を得ることは可能か。。?

前回ブログの続きです。
大豆に含まれるトリプトファン 抗うつ効果を得るにはどのくらい食べる必要がある?
前回、記載しましたとおり、
トリプトファンは神経伝達物質のセロトニンの原料になります。
そのため、トリプトファンが継続的に体内で不足すると、セロトニンが減少し、抑うつ気分や不安症状につながると予想されます。
しかし、トリプトファンの1日必要量は、ほどほどの規則正しい食生活を行っていれば補える量であるため、
顕著なトリプトファン不足はめったにおこりません。
(たとえば、体重50kgの方なら、トリプトファン100〜150mgが1日に必要な量です。)
トリプトファンの参考数値↓
100gあたりのトリプトファン含有量は、(日本食品標準成分表2015年)
木綿豆腐 98mg 高野豆腐 750mg
白米 82mg
パスタ 140mg
牛乳 41mg
では、逆に、
抑うつ症状や不安症状のある方がトリプトファンを摂取すると、抗うつ効果、抗不安効果は得られるのでしょうか?
つまり、
抗うつ薬や抗不安薬を内服せずに、トリプトファンの摂取にてうつ病や不安神経症、強迫性障害の改善を望めるのでしょうか?
ちなみに、国内外で、トリプトファンにて抗うつ効果、催眠効果を説明しているサプリメントが多数ありますが、
摂取する1日量の設定が500〜1500mg以上であり、通常の食事を大きく上回る量が含まれます。
欧米では、医薬品としてトリプトファンが2000〜3000mg以上の内服もされているようですが、
この量の内服では副作用の出現の報告も認めるようです。
例えば、トリプトファン3000mg〜6000mg(すごい高値です!)の内服にて、無気力、吐き気、頭痛の報告があります。
ちなみに、フランス食品衛生安全庁(AFSSA)はサプリメントのトリプトファンを1日220mgまでにすることの提言をしています。
結局のところ、まとめると、
十分な量を飲むと、
セロトニン↑に伴う抗うつ効果、抗不安効果、
メラトニン↑(トリプトファンは睡眠ホルモン メラトニンの原料でもある)に伴う催眠効果や安眠効果
が得られるかもしれない。
しかし、効果が得られる程の十分量を内服すると、副作用も出現しうるリスクがある。
また、サプリの副作用やネガティブな事象に関する情報がとても乏しい。
つまり、
人それぞれ体質により、サプリメントの安全な量の摂取にて、抗うつ効果、抗不安効果、睡眠への効果が得られる方もいると思う。
そういった人には、トリプトファンの内服は良いのではないか。
しかし、大多数の人にとって、副作用が少なく、安定した抗うつ効果や抗不安効果、睡眠への効果が得られるわけではない。
また、データも十分ではない。
結局のところ、多くの人にとって、期待する効果と身体へのリスクを鑑みると、抗うつ薬、抗不安薬・睡眠薬をそれぞれ必要に応じて使用する方が安全かつ効果的なのではないかと思いました。
昨年行ったライオンキングの写真
院長 丹羽亮平
愛知県名古屋市西区の心療内科・精神科・児童精神科
名駅さこうメンタルクリニック
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「院長 資格・所属学会」
日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医日本産業ストレス学会臨床研修指導医