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古市憲寿さん 絶望の国の幸福な若者たち

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

2021-09-29 転記

 

 

 最近、メディアで有名な古市さんの本を読みました。

 

 エポックメイキングで話題になった本でしたが、有名人の本としてなんとなく手に取っていませんでした。

しかし、これまで読まなかったことが悔やまれるほどに、非常に良質な内容で本当に驚いています。

 

 一番のテーマである、

『「幸せか」と聞かれた際に、人は将来に希望が描けない時、「今は幸せだ」と回答する』

という記載について、当初は文学的な言葉のアヤにも感じられましたが、読み進めるにつれ納得がいきました。

 

 また、現在の状況に悩まれて受診していらっしゃる患者さんに対し問診にてこれまでの生活歴について伺うと、

大抵、症状出現の以前の生活について「楽しかった!」という方が多いことを思い出しました。

(例えば、中学にて不登校となられた方が、小学校の記憶について楽しかったという方が多い)

 

 人の記憶の連続の中で、相対的に「幸せ」「不幸せ」が割り振られるとしたら、現在に「不幸」を感じられる方は、過去が「幸福」と評価されやすいのかもしれないですし、この本に書かれているように、未来に「不幸」が待っている可能性が高い状況ならば現在が「幸福」に感じられるのかもしれませんね。

 

 若者論、ナショナリズムについて等、内容の鋭さもさることながら、シニカルな冗談を交えた軽快な文章も心地よく読めました。(本文下に脚注があり、古市さん本人が自身の文章にツッコミをいれるスタイルが新鮮です。)

 

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平

 

 

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