成人・高齢者のひきこもりの方への対応
昨年、一人暮らしの初老の方が、「家庭生活が行えない状況であること」に家族(別の世帯にて暮らしている)が困り、伴われて来院されました。
もともと社会・家庭生活の状況が良いとは言えない方でした。
中学卒業後、就職するもすぐに辞め、以降は社会との交流を避け自室にこもる生活を送っておりました。
外出は、親から毎月いくらかのお小遣いをもらい時に欲しいものを買いにいくくらい。
食事、洗濯などの日常労作はすべて親が行っていました。
親は「ひきこもり」であるPtを心配はしていたようですが、何かトラブルは起きるわけではないため、精神科受診や役所への相談などの対応はせず、すごしたようです。
数年前に同居していた家族を突然に亡くされて、以降は一人暮らしとなり、生活は不規則で荒れたものとなりました。
炊事、洗濯、そうじ、ゴミだし、身の清潔など日常生活全般に支障を来し、自宅はいわゆるゴミ屋敷のような状態となり近くに住んでいる家族が対応に苦慮し来院されました。
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このケースによく似た患者さんはしばしばいらっしゃいます。
長年のひきこもりの方にどのようなことができるか?
改善できるか?働けるか?
医療機関として、将来の不安への対応が求められます。
対応については、次回記事にて改めて記載します。
成人・高齢者のひきこもりの方への診断・対応
まずは、ご本人も家族も、おそらくは長い逡巡の末に精神科へ来院されたと思うので、診察は受診されたことを労うことからのスタートです。
名駅さこうメンタルクリニック院長
丹羽亮平