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漢方の複数内服に注意! 偽性アルドステロン症

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

最近、漢方の副作用についてのブログを連投しています。

 

今回の

「漢方薬を複数内服している方はご注意ください。」

というのは、漢方薬に使われるメジャーな生薬『甘草』についてです。

 

 

 甘草の過量摂取に伴う『偽性アルドステロン症』は医師国家試験でもよく問われる有名な副作用なのですが、

実際の診療では、様々な漢方薬にきわめて高頻度に甘草が含まれるため、意識しないと甘草の1日摂取量が危険量を超えることがありえます。

 (医療用漢方製剤148品目のなかで、甘草を含有しているものは109処方あります!

 漢方製剤に含まれるカンゾウの1日量は1.0~8.0gですが、1日トータルで甘草を2.5 g以上摂取することは、低カリウム血症のある患者には禁忌となっています。 )

 

 

 偽性アルドステロン症

 甘草に含まれるグリチルリチン酸が原因となり、高血圧、低カリウム血症(→代謝性アルカローシス)を引き起こします。

自覚症状では、四肢脱力、ふらつき、歩行困難、筋肉痛、頭重感、吐き気、などあります。

 原因になりうる薬剤を内服して3ヶ月以内に起こることが40%ですが、長期使用していて突然症状が出現することもありえます。

 

 発症率に関しては1日当たりの甘草摂取量 1gで1.0%、2gで1.7%、 4gで3.3% 、6gで11.1%との報告があります。

 

 

 

 

実際にありうる例ですが、

 

丸ブルー女性の更年期障害or月経前の不調に対し『加味逍遙散』を継続内服していた方が、風邪をひいた際に、『葛根湯』と『小青竜湯』を内服した。

 

→加味逍遙散(1日内服量にて甘草1.5〜2g含む) + 葛根湯(甘草2g/日) + 小青竜湯(甘草3g/日)

 

→1日の甘草の内服量は6.5〜7gとなり、偽性アルドステロン症の発生率は11%以上の高リスクになります!!

 

 

 

丸ブルー痩せ型、高齢、高血圧薬を内服している患者さんに、抑肝散(甘草1.5g/日)

 →低カリウム血症の傾向のある方には、甘草1.5g/日でも偽性アルドステロン症は起こりえます。

 

 

 

漢方を内服する際は、同封されている(もしくはネット上にて)添付文書に記載されている配合生薬の量を確認することをお勧めします。

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック院長

丹羽亮平

 

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