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スマホが私たちの最新のドラッグである

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

「スマホが私たちの最新のドラッグである」というのは、年末に読んだ下矢印の本の章のフレーズです。

 

 

 

 

 

 

 世界的に話題となっている本ですが、世界中で「生活の必需品となったスマホ」に不安視する声が上がっているからなのでしょう。

 

 

「スマートホンで脳機能が落ちる」ということを、みなさんある程度感じたことがあるのではないでしょうか。

 

 例えば、趣味としてゆっくりと読書の時間を持っていた方が、読書を最近しなくなった、集中できなくなった、という方は多いのではないでしょうか?

 

 

 

 前回ブログでは、バーチャルリアリティ(VR)をつかった会話トレーニングの治療について説明しましたが、

基本的には、物事のデジタル化に諸手をあげて賛成しているわけではありません。

 

 今回は、デジタル化の非常に大事なネガティブな側面についてのはなしです。

 

 

 スマホには報酬中枢をあおり、いとも簡単にドーパミンを出させる効果があります。

 

 もっともドーパミンが出るのは、気になるページを読んでいる時やSNSのメールを読んでいる時ではなくて、

 

・メールなどの着信があった時

・ページ上のリンク(クリックする箇所)を見つけた時

 

とあります。

つまりは、現在目の前にある情報よりも、

 

「何かよりおもしろい・役立つ情報があるのではないか」「何か重要なメールが来ているのではないか」

という、不確かな未来への探索行動に対して、ドーパミンが出ているのです。

 

このことは、ギャンブルで報酬系が刺激され依存症が起こりやすいシステムににていますよね。

 

 

 そして、このスマホやSNSにおける報酬中枢が刺激されやすいシステムは、偶然作られたものではなく、

開発者の企業サイドが行動科学や脳科学の専門家を雇い、そういった効果を狙って作られたものであるから驚きです。

 

 

 つまりは、スマホ、SNSは巧妙に作られた中毒性の高いデバイスシステムなのです。

 

 

 

 どのように脳機能に作用するかは、次回ブログに記載します。

 

 

 

 

 

 生活する上での利便性に関わる点はデジタル化の利点が生かされますが、

学業、娯楽といった、人間の個人的体験と記憶が相まって人格を形成する主たる分野は非デジタルの方が良いのではないかと考えさせられます。

 

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平