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悩み相談で共倒れにならないために〜文春オンラインの記事に関して〜

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 先日のことです。

 老婦人が「抑うつ、不安、ねむれない」ことで来院されました。

 

 話を聞くと、「娘から夫婦関係の悩みを連日相談にのっているうちに、不安に襲われ眠れなくなった」という内容でした。

相談者が精神的に持ち崩した後も、「娘からの相談の電話が続いており、どうしたらよいのか」と、

自身のことも、家族のことも不安が強く見られました。

 

 

右矢印対処:来院された患者さんに医療的な対応をおこなうこと、だけではなく

 娘さんの相談窓口として、心療内科来院を強く勧めました。

 

 

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今回は、毎日の悩み事の相談相手として、心療内科をぜひ検討して頂きたい、という内容です。

 

 

 

文春オンライン記事の反響がたくさん届いております。

お忙しい中、記事に目を通してくださりありがとうございます。

 

 

下矢印文春オンライン記事です下矢印

「もうだめなんだ…死ぬよ」本気で助けを求められた時に絶対にしてはいけない3つの話題

https://bunshun.jp/articles/-/40974

 

 

 自殺について、もしも相談されたら…という、非常に深刻な状況を想定した話です。

 お辛い気持ちを抱えた方に対して、短い文章で説明できる簡単な対応はないとわかってはおりますが、

自分の知る知識をいくつか記載させていただきました。

 

 

 

 ところで、自死を考えるほどの極端に辛いケースではないとしても、悩みを抱えている相手から相談された時は、

まず相手の話をしっかり聞いて気持ちを受け止める、ということがなにより重要です。

 

 しかし、相談者から繰り返し悩みを相談されていると、話の受け手も悩みを抱えてしまうことになり、

結果的に、相談を受ける側・支える側も精神的に持ち崩してしまうこと、共倒れが何より懸念されます。

(支援者がもうこれ以上支援できないことを知り、相談者も孤独を深めて精神的に悪化するケースが多いです) 

 

 

 核家族や個人主義が進む現代において、必ず安心して継続的に相談できる話相手というものは、確保が難しいのかもしれません。

 

 

 近年、以前にもまして精神科・心療内科の受診の敷居が低くなっていると実感しておりますが、

社会の公共的な役割を担う機関として、ささいなお悩みでも心療内科(or心理カウンセリング)の利用を検討されることをお勧めします。

 まず、事態が悪化する前に予防的に対応できます。

 そして、なにより「安心して継続的に相談できる話相手」を見つけることが精神的な健康につながります。

 

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平