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新型コロナウイルス後遺症 ブレインフォグ

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

オンライン勉強会に最近もたびたび参加しておりますが、やはり話題に上がることはコロナウイルスについてです。

 

とくに、脳神経・精神科分野で懸念されることは、コロナウイルス後遺症に伴う精神神経症状です。

 

 「ブレインフォグ」とも呼ばれるそうですが、「あたまがボーっとする」「頭痛」「疲れやすい」「気持ちが晴れない」などの精神神経症状の不定愁訴が出現します。

 

 ブレインフォグの症状:認知機能の低下、頭痛、抑うつ気分、意欲低下、易疲労感、記憶力低下

 

 他にも、後遺症として嗅覚障害、味覚障害などの神経症状も認める可能性があります。

 

 

 

 これらの症状について、コロナウイルスに感染したことに伴い心労が増したこと、集中治療室に入院した影響等が原因とも考えられますが、ウイルスの働きによる生体への影響が大きいといえます。

 

 新型コロナウイルスが脳神経経症状を引き起こす原因として、、

・アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することを介して、2次的な脳血管系障害を起こすのでは?

・炎症系サイトカイン病変ではないか? 微小血栓を生じたのでは?

・免疫機能不全が生じたのでは?

などが複合的に考えられます。

 

 

 後遺症についてのデータはまだ十分ではありませんが、

 これらの日常生活に深刻な影響をもたらす副作用は、時間経過の中で改善するものが多いですが、一部不可逆な症状として継続的に残るのかはわかりません。

 (下記のグラフからも、倦怠感は200日経っても数%認めます。)

 

 

 

 

 
また、コロナ感染者では、軽症例を含めても、20歳代では75%、30代では83%がなんらかの後遺症を認めております。
(アンケートの回答形式が分からないのですが、非常に軽い後遺症の方も含めている可能性はあると思います。一方で、記憶障害や認知機能障害など精神神経症状の後遺症はカウントされていないかもしれません。)
 
 

 

 

 
若年者のコロナウイルス感染では急性期症状は重篤化しにくいと言われていますが、生活に大きな支障をきたす可能性のある後遺症が遷延するリスクを考えると、ワクチン接種をやはり若年者にも基本的にはお勧めしたいです。

 

 

 

 

 

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丹羽亮平