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孤独な現在社会〜自死のニュースを踏まえて

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 TVでよく目にする方が自死されるニュースを最近多いことに胸を痛めています。

 

 悩まれる理由は個々に異なり、いくつかの理由がおそらく複雑に絡み合う状況なのだろうと推察しますが、

悩むことを一人で抱え込まず、誰かに相談できるかどうかが、最終的な自死の判断をいったん止めるブレーキになりうるのだろうと思います。

 

 どうにも苦しい状況で悩まれている方がいらっしゃるならば、家族、友人など近くの方に思いを共有することをお願いしたいです。

 

 また、近くに相談できる人がいない方や、人に話しにくい内容であるならば、精神科のクリニックも含めて社会的サービスの選択肢もぜひ考慮して頂きたいです。

 

 

 今、読んでいる本です。

 本屋に行くと発達障害、ADHDに関する本をつい手にとってしまいます。

(本のネタばらしになるかもしれないので詳細の記載はさけますが、)生まれ育った環境が前頭葉機能の発達に重大な影響を持ち、遺伝因子など他の要因との関連にてADHDと同様の症状を認める可能性があります。

 

 

 ADHDに限らずとも、不安や抑うつを伴う疾患など養育環境の影響が強いことが知られており、健全なメンタルヘルスのためには、「適切な生まれ育った環境」が重要であることはいわずもがなです。

 

 しかし、医学的データとして「適切な養育環境がメンタルヘルスに重要」と分かっていても、「適切な養育環境」の実践がなかなか難しいことが現実です。

 

 

 

 「育児」という発想そのものが、社会の近代化に伴う意外にも歴史は浅い概念であり、「給与をもらい家の外で働くサラリーマン」に伴う「育児を主に一人で全うする主婦」という家庭構造は、大正時代頃から徐々に増えて、高度経済成長に伴いより一般化された、歴史からみると新しい形態といえます。

 (長い歴史の中では、子供は地域組織や家制度の中のネットワークの中で多人数が育児に関わり合う形態の方がより自然です。)

 

 

 上記の自死のことも、個人の「孤独」が大きな原因と考えられますが、核家族化、個人主義化する現代社会の流れが育児も含めてあらゆるメンタルヘルスに影響があることは否めません。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平