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睡眠剤〜オレキシン受容体拮抗薬 ベルソムラ、デエビゴ〜

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 デエビゴ、ベルソムラを含むオレキシン受容体拮抗薬は最も新しい睡眠剤のジャンルになります。

 

 オレキシンは覚醒と睡眠を調節する神経伝達物質のひとつであり、オレキシン受容体(1.2)をブロックすることで覚醒状態から睡眠へと切り替わります。

 

♦従来の睡眠剤と比較して違う点

 

 

良い点は、副作用の少なさです。

 

 ・やめやすい。内服中止に伴う反跳性不眠、離脱症状は観察されず身体的依存は起こりにくい。(SUNRISE1試験およびSUNRISE2試験)

 

 ・認知機能に影響が少ない。自動車運転への影響の少なさ、健忘が起こりにくい。(106試験、108試験)

 

 ・夜間覚醒時および翌日の姿勢安定性に影響がすくない。ふらつきが起こりにくい。

 

 

よくない点

 

 

 ・以前は(ベルソムラについて)オレキシン受容体拮抗薬は従来のベンゾジアゼピン系よりも効果が弱いと言われていましたが、デエビゴはオレキシン受容体2に対する結合が非常につよく、ベンゾジアゼピン系と比較しても睡眠効果が十分にあるとわかっております。 (睡眠への効果は、デエビゴ>ベルソムラ)

 

 ・悪夢を見やすい。オレキシン1・2受容体を強く阻害するとレム睡眠が増加し、夢が増えて悪夢が見やすくなると言われています。

 

 

 

 

 副作用に注意の必要な高齢者の患者さんに処方しやすい睡眠剤と言えます。

 また、悪夢に悩まされることの多い方には他の睡眠剤を提案したいです。

 

 

不眠に悩まれている方、興味のある方は医師までご相談ください。

 

丹羽亮平