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学業をあげるにはどうしたら?〜衝動性の観点で〜

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

「勉強の成績をあげるにはどうしたらよいのでしょうか?」と診察の中の会話で聞かれることがあります。

 

これは精神科医の領分ではないと思うのですが、個人的な返答ととして、

 

 「通常の範疇でいうならば、衝動性をコントロールすることが、成績の向上につながるとおもいます。」

と答えています。(何かの本に記載して有ったと思うのですが、著書名を失念しました。)

 つまり、目先の欲求(スマホ、動画、ゲームなど)を我慢して勉強に向き合えるかどうか、はやはり衝動性のコントロールですね。

 

 そして、欲求の制御ができることは、勉強の向上だけではなく、将来的にも「真面目にコツコツ努力をする性質」であったり、また、「依存症のリスクを下げること」につながります。

 

 

 幼少期から脳の成長は進みますが、特に学童期〜思春期の前頭葉の成長は著しいと指摘されており、その期間に適切な衝動性に対する養育を行うことが、大事なのではないでしょうか。

 具体的に言うと、結局は、「規則正しい生活」や「しかるべき教育」であったり、「虐待など極端な悪条件にさらされないこと」だと思います。

 

 

 しかし逆説的話で面白いと自分は感じるですが、

 「通常の範疇」でよい結果を残すのであれば、「真面目にコツコツおこなえる=衝動性のコントロールが良いこと」が重要ですが、突出したいわゆる「天才気質」と言われる方は、そうとは言い切れないということです。

 

・退屈なことは手が出ないけれども興味のあることはフットワーク良く動き、熱中もしくは過集中できる。

・失敗するかもしれないリスクがありつつもチャレンジする「新奇探索性」

 

があるケースが多いのではないでしょうか。

 

 脳科学的にいうと、衝動性の制御がしやすいのは「ドーパミンの必要性の低い人」と言えます。(日本人は遺伝的にこの性質をもつ方が多いです。)

 しかし、天才気質の、新奇探索性や多動・衝動性ともいえる行動力を認めるのは、「ドーパミン必要量が多い方」と言えます。(日本人で遺伝的にドーパミン必要量の多い性質をもつ方は1〜5%とされます。)

 

 

 行動傾向や性格に神経伝達物質が驚くほど影響を与えているのですが、個人個人のタイプを理解して、性質にあったアプローチが必要ですね。

 

 

週末の読書本です。梅雨入りしましたね。

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック

丹羽亮平