最新精神医学に執筆した論文が掲載されました〜DVなどの家庭内相談数が増えていること
楽しみにしていた愛知県美術館 大浮世絵展が閉幕したことがとても残念です。
しかし各美術館からGoogle Arts & Cultureにて所蔵コレクションをオンライン展示されていることをしり、面白く観ています。https://artsandculture.google.com
学校の休校や仕事のテレワーク化など『ステイホーム』が促されるなか、
家庭内暴力や虐待相談件数が増えている、というニュースを目にすると胸が痛みます。
社会生活が閉ざされて第三者の介入のない家庭生活が連続することで、これまでの家族関係がより濃縮された形で表出しているようです。
ステイホームを楽しむアイディアとしてニュース等で取り上げられる『自宅のベランダでキャンプ!』等、より家族の絆が強まる家庭もある一方、
これまで仕事や学校といった緩衝材があることで家庭内が首の皮一枚繋がっていたところ、ステイホームにて家庭問題が顕在化し「コロナ離婚」、DV・虐待といった家庭の有りようが浮き彫りにもなる皮肉さを感じます。
僕自身は仕事の勤務形態が変わらず過ごしているのですが、休日に家庭内で子供達と自宅で過ごす時間は、子供のパワフルさに圧倒されています。
とくに小さい子供と過ごす時間は、体力とマンパワーが必要であることを実感しています。
今回加藤晃司先生と書いた、思春期境界性パーソナリティ障害に関する研究報告が最新精神医学に掲載されました。
サンプルサイズが小さい研究ではありますが、境界性パーソナリティ障害(BPD)診断群の患者背景は優位に両親の離婚がありました。また、生育歴にて「一次反抗期がない」「入園時の分離不安がない」などの項目をBPD患者群で認めました。
単純にひとり親にて養育に非常に苦慮したと考察すべきか、BPDとしばしば鑑別対象となる衝動性を認める精神疾患(双極性障害、ADHDなど)との関連も重要だと考えています。
現在の患者の症状や問題行動は、これまでの連続した生育状況や養育環境が少なからず影響していると考えられますが、患者本人の治療だけでなく養育者(主に母親のケースが多い)への支援やアプローチが重要であると思われます。
共著である加藤先生に非常にお世話になりました。ありがとうございます。
名駅さこうメンタルクリニック
丹羽亮平