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コロナ禍と強迫性障害 〜自閉スペクトラム症・ADHDとの関連

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 コロナウイルスを意識した生活スタイルが広く浸透する中で、清潔への意識が高まり、清潔強迫など強迫行動の悪化を認める患者さんをよく認めるようになりました。

 

 強迫性障害の悪化というのもおかしいのかもしれませんね。清潔意識の向上に伴う習慣の徹底です。

 

 

 マスク、サングラスに手袋をつけて買い物されている姿や…

 手指や机、ドアノブなどアルコール除菌の徹底…

昨年なら不潔恐怖に伴う強迫性障害とみなされそうな言動が推奨されているわけです。

 

 清潔を意識している本人も周辺の方々(家族、職場など)もその言動に困っておらず、行動に納得しているのなら「障害」にはあたりません。

 

 

 

 ちなみに、強迫性障害は自閉スペクトラム症(発達障害)や注意欠如多動症(ADHD)との合併が非常に多いことが知られています。(そもそも自閉スペクトラム症とADHDの合併も多いです。)

 

 

 自閉スペクトラム症の「こだわり」と強迫行動は治療をする上で、あえて鑑別をする必要があるのか、ないのか。

 

 また、強迫性障害は生来的に衝動統制が未熟な面を持ち合わせていることはしばしば指摘されており、その点においてADHDの衝動性と似通う行動様式が多いです。

 

 

 以前実地されたADHDの調査では、ADHDの併存症として不安障害の中では強迫性障害がもっとも多く8%程度。また、児童期発症の強迫性障害におけるADHDの併存の割合は34〜51%と報告されております。(ADHDの診断・治療ガイドライン第4版 じほう)

 

 例えば、ミスを繰り返すため確認を過剰に行ってしまう。

     落ち着いて行動できないため、過剰に繰り返し行動を行ってしまう。

 

 という行動の理解が可能ですが、ドーパミン系、セロトニン系の脳神経の働きが関係あるのでしょう。

 

 

 個人的には、強迫的行動をとる方にはとくに「感覚過敏」をみとめる方が多いと思います。

 「行動に伴う達成感や納得感」という感覚的なジャストフィットが得られず、納得するまで繰り返し行動するようなパターンです。

 

 

 強迫性障害の治療というと、抗うつ薬と認知行動療法が一般的ですが、

症状に応じて、漢方薬、訪問看護など日常行動へのアプローチ、自閉スペクトラム症やADHD治療を優先することも必要だと思います。

 

 

 

 

 

 

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丹羽亮平