就労継続に必要な能力 発達障害、ADHD等
前回ブログの続きです。
『障害児の将来に向けてのスキル』
https://meiekisakomentalclinic.com/blog/1090/
大人になった時に仕事を続けるために必要な能力は何でしょうか?
(これは、発達障害など障害の有無は関係なく、一般的な話です。)
学生時代の学業が優秀であれば、仕事は円滑に行くでしょうか?
仕事の能力(例えば、事務処理能力、プログラミング能力など)が高ければうまくいくのでしょうか?
もちろん、仕事の能力や学生の頃の優秀さは関係ないとはいえませんが、仕事の本質以外の悩みにて辞められる方が多いように思います。
一般的に就労する上で必要なスキルは3つに分けられます。
1、職務遂行能力(ハードスキル):仕事そのものの能力。
2、職業生活遂行能力(ソフトスキル):獲得していないと仕事が行えない能力。
例えば、「遅刻せずに出社する」「納期を守る」「職場に適切な身だしなみを行う」「わからない業務を相談する」など
3、日常生活能力(ライフスキル):基本的な生活能力。「毎日、歯磨き、洗顔、入浴を行う」「電車に乗ることができる」「ATMを使える」「適切に買い物ができる」など多岐に渡ります。
自閉スペクトラム症の患者さんで、仕事のお悩みで受診される患者さんのお話を伺うと、ソフトスキルに悩まれている方が多くみられます。
ソフトスキルは、対人関係や日常生活の延長の能力であり、仕事と直接は関係ないものの、仕事を行う上で必ず必要なものとなります。いかに優秀な方でも、毎日遅刻をしていてはクビになってしまいます。
例えば、遅刻をしないためには、
・規則正しく起床して、出発時間に合わせて身支度をすること
・電車など公共交通が使えること
などのライフスキルが必要です。
患者さんには、医療機関の他、ジョブコーチ、就労支援移行所、就労継続支援A・B型などの就労のサポートを行う中で、トレーニングすることをしばしば提案しております。
しかし、このようにソフトスキルには、できれば小さい頃からの習慣にて身に付けたいライフスキルも多く含んでおります。このライフスキルの獲得に向けて、例えば、米国では自閉スペクトラム症と診断された児童に対し、それぞれの能力に応じて必要なスキルを身につけるための計画がたてられます。(IEP:個別教育計画、ITP:個別移行計画)
個別移行計画では、以下の11の項目が挙げられております。
1、移動能力 7、地域参加
2、身辺自立 8、教育・就労
3、医療・保健 9、お金の管理
4、居住 10、法的な問題
5、余暇 11、毎日の生活
6、対人関係
よくまとまった非常にわかりやすい項目だと感じております。
(また具体的な説明を今度あげられたらと思います。)
児童の患者さんの親御さんには、患者さんの将来を不安に感じられる方もいらっしゃいますが、そういった方には上記の具体的なライフスキルについて日常のトレーニングを提案したいです。
具体的な職種の説明が載っており参考になります。
名駅さこうメンタルクリニック 院長
丹羽亮平