発達障害は障害なのか?個性なのか?
先日、患者さんから「発達障害は障害なのか?個性なのか?」と質問されました。
それについての回答です。
昨今、テレビや雑誌、ニュースでも、広汎性発達障害や自閉症、アスペルガー障害、注意欠如多動性障害(ADHD)が話題として取り上げられることが多いと思います。
あるテレビ番組の中で、軽度のアスペルガー障害と指摘を受けた小学生男児のお母さんが、以下のようにおっしゃっていました。
「子供には発達障害というクセがあるが、個性としていい方向に伸ばしてあげたい。」
そのお母さんの受容的態度や理解がすばらしいと思いました。
ところで、よく患者さんから、発達障害は性格なのか?障害なのか?という質問を受けることがあるので、そのことについて少し触れたいと思います。
まず、発達障害にはたくさんのタイプ(アスペルガー障害、自閉症、ADHDなど)がありますが、診断項目には全てに共通したものがあります。それは、疾患により書き方に差がありますが、次のようなことです。
『症状によって、著しい苦痛あるいは、社会的、職業的またはその他の重要な機能における重大な障害が引き起こされる』
つまり、症状があっても『大きな問題』が起きていなければ「障害」として診断はされません。個性の範疇といえるのでないでしょうか。
このことは、キレイ好きと強迫性障害とは違うのか、あがり症と社会不安障害とはちがうのか、という議論にも似ていると思います。
そしてこのことは治療する上でも大事な発想です。
前述のお母さんの言葉がそのままなのですが、発達障害としての思考や行動のクセが出来うる限り『個性』として生かされる環境や周囲の接し方を考えて、探すことが大事です。
心理療法、ペアレントトレーニングなどを通して苦手な状況やパターンを訓練して少しずつ克服することも極めて有効だと思います。
また、希望の方には、訪問看護にて患者さんの家庭内のご様子を見せていただき、患者さんの日常性や活動の手助けができたらと思います。
医師として、患者さんとご家族の話をしっかり伺いながら、具体的な方法を一緒に探すことができたらと思います。
梅ジュースの季節です。
アルコールで割ると美味しいです。
名駅さこうメンタルクリニック
院長 丹羽亮平
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