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虐待の脳への影響

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

前回ブログにて「解離性障害」について簡単に書きました。

https://meiekisakomentalclinic.com/blog/988/

 

 自閉スペクトラム症(アスペルガー障害、広汎性発達障害)やADHDの傾向のある方は、軽度なものを含めると解離症状を認めることが多いと記載しましたが、

 

 解離症状を引き起こす原因として、『虐待』の影響は極めて大きなものです。

 

 

 

 

 

 家庭内の『虐待』について、今回取りあげたいと思います。

 

 

 これまでも複雑性PTSD、愛着障害について何度かブログにて記載したことがありますが、

家庭内の養育者からの虐待は、不適切な養育が継続的に行われることで、心と体が健康的に成長できなくなります。

 

 

 虐待の影響は、情緒が育たないといった心理的な意味合いだけではなく、脳への重大な損傷を引き起こす可能性が指摘されています。

 

 ・嬉しい時、心理的なご褒美に対する反応が鈍くなります。(腹側被蓋野のドーパミン放出への影響)

→前向きに毎日を頑張れない。意欲低下、抑うつ…

 

・体罰や暴言、強いストレスにて、前頭前野、聴覚野、扁桃体などの萎縮や変形が画像診断にて指摘されています。

 

 

 

 成長過程において継続的に上記の過酷な状況が続くことで、情緒・行動発達への多大な影響につながります。

 

・PTSD うつ病 不安障害

・攻撃的行動 自己破壊的な行動 自傷行為・自殺企図

・認知・行動発達の遅れ

 

 

 

 

丸レッド適切な対応、治療を継続することで、傷ついた脳・こころを癒すことが可能です。

 

 ・安心できる環境にて愛着の形成を援助すること。

 ・トラウマ(フラッシュバック)、解離症状、抑うつ・不安症状などさまざまな心理的症状への対応すること。

 

 

 

お悩みの方がいらっしゃれば医療機関へご相談ください。

 

 

名駅さこうメンタルクリニック 

院長 丹羽亮平