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ADHDの行動の評価(神経学的微徴候)

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

 前回ブログ(https://meiekisakomentalclinic.com/blog/343/)にて、ADHDに必要な医学的検査を書きました。

 

 一般的な神経学的診察はADHDを積極的に診断したり、他の疾患を除外診断する際にとても重要な意味を持ちます。

 道具や機械を用いる検査ではありませんが、ADHDに関する身体診察における評価も検査のひとつといえます。

 

※実際のところ、精神科診察にて以下の症状は、患者さん自身やご家族からの問診で聴取することが多く、身体診察まで行うことは稀です。

しかし、症状として把握することの重要性は高いです。

 

 

・ADHDの症状を評価する。(神経学的微徴候)

 

 ADHDの症状把握の一つに行動の評価が不可欠となります。
多動や衝動性がある際に、以下のような行動における不器用さ、苦手さを認めることが多くあります。                                                
協調運動の拙劣 :  
『粗大運動』 ボールを投げる、縄跳び、スキップ     →苦手
『微細運動』 箸使い、ボタンかけ    →苦手                        
姿勢や動作の不安定さ : 片足立ち、立位姿勢  →苦手                       
行動抑制の未熟さ : 閉眼の保持 → 苦手
スタッフの声掛けに合わせて手をグー、パーするテスト、などもあります。
  
                         
 これらは5歳児検診にも取り入れられている幼児における症状を例にあげました。
 しかし、年齢により可能なことは異なるため、年齢を加味して評価する必要があります。
(2回の片足飛び(ケンケン)は、3.3歳にて50%が可能、4.2歳にて90%が可能になるといわれています。年齢に伴う脳成熟は無視できません。)                      
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名駅さこうメンタルクリニック

院長 丹羽亮平

 

参照:『注意欠如・多動症 ADHD の診断・治療ガイドライン 第4版』 じほう