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医師がBZ系薬剤を使うことへの依存に思うこと

院長 丹羽 亮平 先生

名駅さこうメンタルクリニック
 院長 丹羽亮平

日本精神神経学会認定 精神科専門医
子どものこころ専門医
日本児童青年精神医学会 認定医
日本精神神経学会認定 精神科専門医制度指導医
厚生労働省 精神保健指定医
子どものこころ専門医機構 認定指導医

精神科の診療を始めてもう何年にもなりますが、、

 

 自身が医学生だった頃から、「ベンゾジアゼピン系薬剤(BZ系薬剤)」の危険性は繰り返し教わっており、

 精神科医となった現在も、診療にて患者さんに使用上の注意を幾度も説明している「ベンゾジアゼピン系薬剤」です。

 

 

 BZ系薬剤がここまで「副作用」や「危険性」が一般的に知られており、医師としても基本的な知識としてネガティブな情報を知っているにもかかわらず処方する不思議さです。

 

 

 「内服したら、すぐに不安症状や不眠症状に効果がでる」ということに尽きるのですが、

 

 極力処方しないように心がけても、原因の疾患(うつ病や不安症など)の改善に至るまでの期間の対処療法として、

一定の必要性があることは否めません。

 

 

 BZ系薬剤の使用にて、患者さんの原因疾患の改善に至らなくても、てっとり早く目先の症状を改善させる即効性は、処方する医師の側の精神依存にも繋がるなと思うようになり、

 処方する必要性があるのか、現在の治療に変わる治療がないのか、いっそう吟味することを意識しています。

 

 

 

 

過去に記載のブログの転記になりますが、もう少し詳しい記載があります。

 

 

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クリニックの診療しており、薬を処方する際、

 

 「この薬はくせになりませんか?」

 

 という患者さんからの質問は多いものです。

 

 

 「くせになる薬」=「依存性のある薬」として、精神科における代表的な内服薬は、ベンゾジアゼピン系薬物です。

 

 

 精神科における多剤併用処方の問題として、依存性・耐性により複数・多量処方になりやすいリスクを孕むベンゾジアゼピン系はやはり診療の質を意識する上でのキーになります。

 

 

 

ベンゾジアゼピン系薬物

 

 

①不安感を和らげる 

②眠気・鎮静をもたらす 

③筋弛緩・けいれんをおちつかせる。

 

 という効果があり、その作用の強さに従って抗不安薬、睡眠薬、抗けいれん薬、筋弛緩薬として臨床上使われます。

 

 

 問題となるのは、効果の裏返しとして眠気・鎮静・筋弛緩など抑制系に働くこと。また、長期連用にともなって依存性や耐性を生じる点です。(これは特に、抗不安薬・睡眠導入剤として使われる状況です。)

 

 

 

 以下のように、弊害について列挙しますが、このように(一般的にも悪名高い!!)ベンゾジアゼピン系薬剤が問題点が言われつつも現在も新たに処方され続けているのは、やはり効果があるからです。

(疾患が改善するというエビデンスはありません。)

 

 

 僕自身もベンゾジアゼピン系薬剤の問題点を理解しつつ、やはり一定の必要性を感じています。

 

 

 ベンゾジアゼピン系薬剤を抗不安薬・睡眠導入剤として使う本質的なポイントは、『すぐに』『一時的に』不安や不眠に悩まされないということです。

 

 

 うつ病、不安障害など強い不安や不眠症状を認める患者さんにとって、これらの症状をいち早く軽減することは有益だと思っています。

 

 根本的な治療効果をもたらす抗うつ薬の効果発現まで2週間以上かかり、また精神療法・心理療法の良い影響が現れるのには一層の時間がかかります。

 

 

 また、そもそもうつ病など精神的負荷に磨耗している心理状況において、

急性期はまずゆっくり休養することが治療であり、抗うつ薬の効果発現までの期間や、休養により急性期を乗り切る期間まで、不安や不眠に苛まれている患者さんを『一時的に』ラクにすることは、臨床上、治療をスムーズに行いやすくするメリットを感じます。

 

 しかし、やはり『依存性→やめられない』『耐性→量が増える』状況で以下の有害事象のリスクがあることは事実です。

 

 

 ベンゾジアゼピン系薬剤を使用はするが、疾患治療の長期的展望を考えた上で、かつ有害事象の知識を患者さんとも共有した上で、期間限定で使うことが望ましいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

名駅さこうメンタルクリニック院長

丹羽亮平

 

 

愛知県名古屋市西区の心療内科・精神科・児童精神科

名駅さこうメンタルクリニック

 

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